児童発達支援センターや放課後等デイサービスにて活躍する児童発達支援管理責任者。通称『児発管』。
今回はこの児童発達支援管理責任者になるための要件や研修の情報、また働く場所について2019年の改正後の変化も含めて解説していきます。
目次
児童発達支援管理責任者とは
児童発達支援管理責任者(児発管)とは、障がい児の支援施設にてアセスメントやモニタリングを行い、利用者の個別支援計画を作成して、この計画に基づいた支援が行われるように保護者への相談支援や他のスタッフの管理・指導を行う、児童発達支援のプロフェッショナルと呼べる資格です。
児童発達支援管理責任者になるには(令和2年度対応)
児童発達支援管理責任者は、資格試験などにより取得する訳ではなく、
①実務経験②研修を受講(研修要件)
この2つの要件を満たすことで取得できます。
資格取得までの流れを図にすると下記のようになります。
主に①が実務要件と呼ばれ、②~④を研修要件と呼びます。
個別に解説していきます。
実務経験
②8年以上の直接支援業務の経験があること
③一定の資格を持ち、実務経験を満たす場合
上記のいずれかが必要となります。
下記にてそれぞれの要件を解説しますが、職務内容が相談支援業務にあたるのか直接支援業務に当たるのか。
自分の勤務している場所は下記の施設に該当するか等、判断が難しい場合も多いうえに自治体ごとに要件が異なる場合もあるため、下記の説明を参考にして児発管を取得の際はまず各自治体の担当課などにお問い合わせして頂くようお願い致します。
①5年以上の相談支援業務の経験があること
下記の施設等にて相談支援業務を担う必要があります。
地域生活支援事業、障害児相談支援事業、身体障害者相談支援事業、知的障害者相談支援事業その他これらに準ずる事業の従業者
(2) 相談機関等において相談支援業務に従事する者
児童相談所、児童家庭支援センター、身体障害者更生相談所、精神障害者社会復帰施設、知的障害者更生相談所、福祉事務所、発達障害者支援センターその他これらに準ずる施設の従業者
(3)施設等において相談支援業務に従事する者
障害児入所施設、乳児院、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障害者支援施設、老人福祉施設、精神保健福祉センター、救護施設、更生施設、介護老人保健施設、地域包括支援センター、その他これらに準ずる施設の従業者
(4) 就労支援に関する相談支援の業務に従事する者
障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターその他これらに準ずる施設の従業者
(5)学校教育法第1条に規定する学校(大学を除く)において相談支援の業務に従事する者
幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校その他これらに準ずる機関の従業者
(6) 医療機関において相談支援業務に従事する者
病院若しくは診療所の従業者又はこれらに準ずる者で、以下のいずれかに該当する者
病院、診療所
ただし、社会福祉主事、相談支援専門員等、保育士、児童指導員、障害者社会復帰指導員であって、上記(1)~(5)の実務経験年数が1年以上のもの
上記に例示した施設の中から赤字の施設以外での経験が3年以上必要です。
例:老人福祉保健福祉施設で5年間相談支援業務を経験しても要件は満たさないが、
老人福祉保健施設で2年、障害児相談支援事業で3年相談支援業務を経験した場合は要件を満たすことになります。
②8年以上の直接支援業務の経験があること
下記の施設等にて直接支援業務を担う必要があります。
助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童家庭支援センター、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設、障害者支援施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、療養病床(病院又は診療所の病室であって医療法に規定する療養病床)その他これらに準ずる施設の従業者
②事業所等において介護業務に従事するもの
障害児通所支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、家庭的保育事業、小規模保育事業、居宅訪問型保育事業、事業所内保育事業、病児保育事業、子育て援助活動支援事業、障害福祉サ-ビス事業、老人居宅介護等事業その他これらに準ずる施設の従業者
(3) 病院若しくは保険薬局、訪問看護事業所その他これらに準ずる施設の従業者
(4) 特例子会社、助成金受給事業所(重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金の支給を受けた事業所)その他これらに準ずる施設の従業者
(5)幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校その他これらに準ずる機関の従業者
ただし、上記に例示した施設の中から赤字の施設以外での経験が3年以上必要です。
例:老人福祉保健福祉施設で8年間直接支援業務をしても要件は満たさないが、
老人福祉保健福祉施設で5年間、乳児院にて3年間直接支援業務を行った場合は要件に該当します。
従来は10年の直接支援業務経験が必要でしたが、研修にてOJTが必要となるため、8年に短縮されました。
③一定の資格を持ち、実務経験を満たす場合
下記の(1)~(5)のいずれかの資格を持ち、②の直接支援経験の要件を満たす場合
(2)相談支援の業務に関する基礎的な研修を修了する等により相談支援の業務を行うために必要な知識及び技術を習得したものと認められるもの(ホームヘルパー2級以上の資格等)
(3)保育士又は国家戦略特別区域限定保育士
(4)児童指導員任用資格者
(5)精神障害者社会復帰指導員任用資格者
上記の資格のいずれかを持ち②の実務経験を5年以上有する者例:児童養護施設にて、社会福祉主事任用資格を有して5年以上の直接支援経験がある場合は児童発達支援管理責任者としての要件を満たすが、資格を有さずに児童養護施設で5年間直接支援業務を経験しても要件を満たさない。
後者の場合は8年間勤務することで②の直接支援業務を満たすことになる。
国家資格を有して実務経験を有する場合
※5年の内3年は①又は②の勤務経験が必要
研修要件
児童発達支援管理責任者となるには実務要件に加えて研修を受講する必要があります。
研修の受講としては下記の通りとなり3段階に分かれています。
ただし、基礎研修はOJTが必要となった分の緩和措置として、上記の実務要件を満たす2年前より受講ができます。
②OJTを修了する。(基礎研修を修了した日以降に、相談支援業務または直接支援業務に通算して2年以上従事すること)
③実践研修(14.5時間)を修了する
児童発達支援管理責任者の働く場所
放課後等デイサービスや児童発達支援センター、保育所等訪問支援、障害児入所施設等、児童福祉法に規程される施設にて勤務ができます。
児童発達支援管理責任者は、事業所を開所する上で必須の資格となる場合が多いため、人員としても非常に重要視されます。
児童発達支援管理責任者の将来性と給料
まず、児童発達支援管理責任者という資格は年々取得のハードルが厳しくなる傾向があります。
そのため、以前までは要件に該当していたけれど、改正で要件が厳しくなり要件からもれてしまったなんて方も多くいます。
また、研修には定員があり、受講できる人数も限られているため要件は満たしていても児発管になれない方も多いなど、近年の取得のハードルは非常に高いものとなっております。
しかし、事業所における児童発達支援管理責任者の需要性は増えていく一方のため児童発達支援管理責任者の価値と将来性は高いと考えられます。
また、給料面についても直接支援職員と呼ばれる指導員の給料よりも高く設定されることが多く、指導員の給料が20万前後なのに対して、児発管は30万以上の給料が設定されている事業所も多いです。
これは児発管の職務が管理職に近い一面を持つことが多く、また事業所の人員の配置としても法的に代わりの利かない唯一無二の資格だからです。
細かい理由は省略しますが、児童発達支援管理責任者を配置できないという理由だけでその事業所の収入は30%近く減らされるという罰則に近い規程も存在するなど事業を運営するにあたっては必須の資格なのです。
また、最近では消費税の増税に伴い特別処遇改善加算という制度も始まりました。
元々あった処遇改善加算という制度は、国が福祉・介護職員の処遇(給与等)の向上を目的に基本給に上乗せすることを目的とした制度でしたが、この対象から児童発達支援管理責任者は対象外でした。
しかし、この特別処遇改善加算の制度により児童発達支援管理責任者も処遇改善加算の恩恵を受けることができるようになったのです。
このように事業者からも国からも期待の高まる児童発達支援管理責任者は、給与面・将来性どちらから見ても今後も非常に期待できる資格と言えるでしょう。
まとめ
児童発達支援管理責任者は、各施設に必須の資格要件ですが、
要件を満たすことが難しかったり、自治体によっては研修の定員で中々受講できないなど、児童発達支援管理責任者はまだまだ足りていない現状であり、研修の定員が満員のことからも分かるように非常に人気の高い資格でもあります。
自分が要件を満たす可能性があるならば、積極的に取りに行きたい資格ですね。