日商簿記検定は就職・転職・キャリアアップ等、各方面で役に立つ資格のため毎年人気資格でも上位の常連資格ですね。
しかし、いざ受験しようとすると3級・2級・1級とあってどれを受講したら良いか分からない方も多いですよね。
今回は日商簿記の各級の違いと、どの級を受けたらいいのかを解説していきます。
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簿記の3級・2級・1級の違いは?
日商簿記には3級・2級・1級の他に初級というクラスもあり、
各級のレベル的には初級から始まり、3級・2級・1級と難しくなっていきます。
では、各級で具体的にどのように違いがあるのか、比較するとこのようになります。
等級 | 試験のレベル | 科目 | 勉強時間の目安 |
初級 | 新たに簿記の基本原理および企業の日常業務における実践的な簿記の知識の習得に資する内容 | 簿記に関する基礎的な内容 | 約40~50時間程度 |
3級 | 業種・職種にかかわらず経理の基本とされる知識が問われ、基本的な商業簿記を修得し、小規模企業に経理関連書類の適切な処理や個人事業の青色申告の作成を行える程度のレベル。 | 商業簿記 | 約90~100時間程度 |
2級 | 高度な簿記のスキルを修得して、財務諸表の数字を深く理解し、経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル。 | 商業簿記 工業簿記 (原価計算を含む |
約250時間~350時間 |
1級 | 高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規の理解も必要とされて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。 | 商業簿記 会計学 工業簿記 原価計算 |
600時間~800時間 |
参考サイト:商工会議所の日商簿記公式ホームページ
簿記の3級・2級・1級の過去の受験者のデータ
3級
受験 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
154回 | 100,690名 | 76,896 | 37,744 | 49.1% |
153回 | 99,820名 | 80,130 | 34,519 | 43.1% |
152回 | 91,662 | 72,435 | 40,624 | 56.1% |
2級
受験 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
154回 | 63,981名 | 46,939 | 13,409 | 28.6% |
153回 | 62,206名 | 48,744 | 13,195 | 27.1% |
152回 | 55,702 | 41,995 | 10,666 | 25.4% |
1級
受験 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
153回 | 9,481名 | 7,520 | 735 | 9.8% |
152回 | 8,438名 | 6,788 | 575 | 8.5% |
151回 | 9,852 | 7,588 | 680 | 9.0% |
参照サイト:日本商工会議所:受験者データ
簿記は3級・2級・1級のどれを受けるべき?
日商簿記は何級からでも受験することが可能なので、まずは自分が何級を受験するかを選択する必要があります。
ただし、初級に関しては基本的な用語に関する知識や複式簿記の仕組みなどの簿記の入り口程度のレベルであるため簿記に関する初歩の知識を知りたい方には良いですが、
転職やキャリアアップ等を狙うために簿記を取るのであるならば3級以上を目指すのがいいでしょう。
初めに勉強するべきは何級?
さて、では実際に簿記を取るならばどの級を目指せばいいのかですが、全くの簿記初心者であるならばまずは3級から始めるといいでしょう。
基本的に2級を合格できる知識があるならば3級でも合格できる可能性が高いため、将来的に2級以上を目指す人は3級なんて勉強せずに2級の勉強から挑戦したいと、2級のテキストから入る人もいます。
もちろん2級を取れるならばそれに越したことはありません。
しかし、3級で得る知識は2級の知識の土台となっており、さらに2級のテキストは3級の知識があることが前提として作られていることも多いです。
そのため全くの初学者がいきなり2級の勉強をしてしまうと混乱を起こしやすく、逆に必要以上に時間がかかってしまったり挫折してしまう人もいます。
元々簿記に関しての知識があり自信があるようならば2級を目指してもいいかもしれませんが、これから簿記の勉強を始める場合は最終目標を2級としている方でも3級から2級とステップアップしていくのがオススメです。
最終的に何級まで取るかは簿記を取る目的で決めよう
手始めに3級から始めたとしても最終的に何級を取ることを目標としたらよいのでしょうか?
それは簿記を取る目的によって決めるのが良いでしょう。
就職・転職を目的とする
就職・転職を目指すならば2級以上を目標とするのがいいでしょう。
よく『3級ではダメなのか?』という質問があります。
決して3級ではダメということではなく、3級の知識でも実務的には有用となる面も多く、簿記に関する知識を持つことの証明にもなるため全くの未経験の人と比べれば間違いなくアピールポイントになります。
しかし、3級は合格率も高く勉強すれば誰でも取れるレベルであるため、他の転職者も所有している場合が多いために抜き出たアピールポイントになりにくく、
求人を出す規模の会社になってくると求められる経理のレベルも高度になってくるため、即戦力として簿記2級が解ける程度の理解があることが評価されるポイントになることが多く、経理職への転職の際は簿記2級以上を求められることが多いです。
そのため、就職や転職を目的とするならば簿記2級以上は欲しいところです。
簿記を取ることで就職・転職にどのように有利になるかは『簿記の資格があれば未経験でも転職・就職で有利になる?』を参考にしてください。
将来税理士になることを目的にする
簿記1級を取得すると、税理士試験の受験資格を得ることができます。
税理士を受験する場合には税理士試験の受験資格が必要になります。
受験資格を得るためには、大学で特定の科目を履修することや銀行などで一定の実務経験を積むことなど、社会人になってから税理士の資格取得を思い立った方にとっては受験資格自体が大きな壁となります。
このように学歴や職歴を今から身に着けるのは、時間や金銭的な都合でどうにもできない壁がある一方で、簿記1級は難関資格ではあるものの自分の努力で到達することができる受験資格のため税理士試験を目指すためには重要なルートの1つとなるのです。
ただし、税理士の受験資格を得られるのは簿記の中でも1級のみとなりますので注意しましょう。
簿記検定のよくある質問
3級を飛ばして2級を受けることもできる?
A.可能です。
簿記はどの級から受けることも可能ですが、受験料や試験開始時間が異なるため事前にご確認ください。
詳しくは商工会議所の受験の申し込みのなが流れをご確認ください
3級と2級を同時に受けることができる?
A.可能です。
簿記の試験は3級、2級、1級が同日に行われますが、3級と1級は午前中に、2級は午後に受けることができるため、午前中と午後を組み合わせて同時受験ができます。
具体的な試験時間はこのようになります。
試験開始時間 | 試験時間 | |
簿記1級 | 9:00 開始 | 商業簿記・会計学 90分 工業簿記・原価計算 90分 途中休憩あり |
簿記2級 | 13:30 開始 | 120分 |
簿記3級 | 9:00 開始 | 120分 |
このように3級と1級は午前中に、2級は午後に試験となるため、
『3級と2級』『2級と1級』の組み合わせなら同時に受験ができますが、1級と3級は午前中に同時に行われるため同時受験はできません。
同時に受けられるならば合格の確率が上がって良いと考える方もいますが、同時受験の場合は午前と午後で一日中試験があることになるため後半は体力的に厳しくなり集中力も落ちてきます。
また、午前中の部であっても午後にもう一つ試験が控えていると思うと試験中に集中力が欠けてしまう可能性も十分にありえます。
2級に受かる程度の実力を持っており、ダメだったとしてもどうしても簿記の資格が欲しいという場合は滑り止めとして3級の同時受験をすることも考えられますが、それ以外の合格の可能性を上げるためにとにかくダメ元で同時受験をしたいような場合はあまりオススメしません。
狙っている級に絞って集中して挑むことが最も合格の可能性が高い方法です。