・商法はどれくらい勉強したらいいか分からない
この記事ではこんなお悩みを解決いたします。
この記事でわかること
- 行政書士試験の商法との付き合い方
- 商法を捨てるのはアリかナシか
行政書士試験の勉強をしていると商法の勉強範囲の広さの割に配点も低いため、どの程度商法に力を入れるか、それとも商法は完全に捨て科目として扱うべきかと悩む人も多いですね。
そこでこの記事では『商法は捨て科目にするべきか』という点について考えていきたいと思います。
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商法を捨てて行政書士試験に挑んでも合格できる?
まず、なぜ主要科目である商法を捨てるべきという問題が出て来るのかについて確認して行きましょう。
まずは以下の行政書士試験の配点と合格基準をご覧ください。
科目 | 出題型式 | 配点 | 出題数 | 合計点 | |
行政書士に関係する法令 | ・基礎法学 | 択一式 | 8点 | 2問 | 8点 |
・憲法 | 択一式 | 20点 | 5問 | 28点 | |
多肢選択式 | 8点 | 2問 | |||
・民法 | 択一式 | 36点 | 9問 | 76点 | |
記述式 | 40点 | 10問 | |||
・商法 | 択一式 | 20点 | 5問 | 20点 | |
・行政法 | 択一式 | 76点 | 19問 | 112点 | |
多肢選択式 | 16点 | 4問 | |||
記述式 | 20点 | 1問 | |||
一般知識 | 政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解 | 56点 | 14問 | 56点 | |
合計 | 300点 | 60問 | 300点 |
(1) 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上である者
(2) 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上である者
(3) 試験全体の得点が、180点以上である者
この表と合格基準を見たら分かる通り、『民法:76点』と『行政法:112点』の配点がずば抜けて高いのに比べて『商法:20点』と低い配点に設定されています。
つまり民法と行政法さえ完璧にすれば商法は全く勉強しなくとも合格点である180点には余裕で届く訳です。
しかし、民法と行政法で満点を取るのはほとんど不可能なため、その他の科目でもある程度得点を取って補っていかなければなりません。
このように聞くと配点は低くても商法もきちんと勉強しなければいけないと感じるかもしれませんね。
それなのに、なぜ商法を捨て科目にするかという問題が出てくるのでしょうか。
その原因は商法の出題範囲が民法と同じかそれ以上に広く、内容自体も複雑であるため難易度が高いという理由があるのです。
つまり、商法は配点に相応しい出題範囲で簡単に得点できる訳ではなく、得点源である民法と同じくらい時間をかけて勉強しても最大20点しかもらえないならば、比較的得点の取りやすい民法・行政法・憲法に力を入れた方がいいのではないかとなってくるのです。
ポイント
これから行政書士の勉強を始める方は、この後の解説を読みながら『商法もある程度勉強してある程度は知識を身に付けておくべき』なのか、『商法は一切勉強せずに民法と行政法、また憲法に力を注いで合格を目指す』と言う商法との付き合い方を考えていきましょう。
漠然と商法もやっておこうというのは一番やってはいけません。
なぜなら、上記でも述べた通り商法の勉強範囲はとてつもなく広いです。とりあえず手を出しておこうという気持ちで中途半端に勉強すると、要点がまるでつかめず5問中1問も取れないどころか、他の科目の知識と混同してしまうというデメリットもあるためです。
商法を捨てるべき理由
行政書士試験において捨て科目として全く勉強しない人も多い『商法』の科目については捨て科目にするかどうかで意見が分かれることも多いです。
商法の科目は例年会社法から4問・商法から1問(以下「商法」で統一)の割合で出題されますが、商法は民法と同じかそれ以上のボリュームと難易度を誇りながら民法は76点、商法は20点と点差に大きく差がつけられているため、両方の科目を同じだけ勉強した場合、勉強効率が悪いのは間違いなく商法となります。
そのため商法を完全に捨てて他の科目に勉強時間を振るべきかという問題になりますが、
結論から言えば、行政書士試験に合格だけを目的としていて、試験まで時間があまりないならば最初は商法は捨てる気持ちで勉強を始めることをオススメ致します。
理由としては、膨大な試験範囲の割に配点の低い商法の勉強の時間を他の科目に振ったほうが得点が伸びやすいのはもちろんですが、もう一つの理由として挫折を防ぐためでもあります。
行政書士の試験は法律資格の登竜門としても有名ですが、それでも試験範囲はかなり広く、これから勉強を始めようという人の多くはその試験範囲の広さと複雑さからのキャパオーバーや、試験までの時間に追われる焦りで心が折れて勉強を辞めてしまいます。特に商法は身近な知識とも繋がりにくくイメージするのが難しい科目でもあるため特に挫折しやすいです。
それならば最初は得点しやすい『憲法』『民法』『行政法』に絞って勉強した方が知識の定着も早くモチベーションの維持も図りやすくなります。
商法を捨てることに最初は不安を感じるかもしれませんが、この3科目さえある程度得点できるようならばそれだけで合格圏まで持っていくことも十分可能です。
上記の方法で勉強してみて、ある程度知識が定着して模試や過去問をやってみた結果まだ余力があると感じる人はそこで初めて商法の勉強に手を付けるという方法もアリですね。
やっぱり、それでも商法を捨てたくないという方は下記の頻出事項を参考にして得点の取れそうなところを狙い撃ちをするという方法を取ってみてもいいかもしれません。
行政書士試験の商法の対策方法は?
ここまで書いてきたように、商法の範囲は非常に広いです。
そのため、端から端まで勉強するのは得策ではありません。
しかし、出題範囲が広いと言っても他の科目と同様に頻出事項もあるため、そこに絞って勉強すればそこまで労力をかけることなく得点を稼ぐこともできます。
頻出事項は主に以下のように言われることが多いです。
商法:商法総則・商行為
会社法:設立・株式・株主総会・取締役会・期間設計
上記の範囲に絞って会社法から2問でも正解を出せればグッと合格に近づくのも事実ですし、やはり捨て科目を作ろうと言っても全くやらないというのは不安に感じるのが人間です。
そのため、もし商法をやるならば商法の中でも出題傾向の高い上記のポイントに絞って勉強して、過去問を繰り返すことをオススメ致します。
行政書士試験で商法を捨てずに勉強するメリット
時間がなければ商法を最初は捨てるべきという結論で今まで書いて来ましたが、もちろん商法を絶対に捨てるのがいつでも正しいとは思いません。
そこで商法を勉強するメリットについても解説していきます。
その後の資格試験に応用できる
商法はその他の試験の出題範囲になることも多いです。
商法が出題範囲となる試験は以下のようなものがあります。
会社法 | 簿記検定 |
司法書士試験 | |
中小企業診断士試験 |
特に行政書士とダブルライセンスを狙う人も多い司法書士試験では圧倒的に商法の知識が求められます。
私も行政書士試験の合格後に司法書士試験を目指しましたが圧倒的な出題範囲と難易度を誇る会社法・商法を1から勉強しなければならないと考えていたら当時は気持ちが折れていたかもしれません。
そのため、今後商法が必要となる試験の受験を考えている人は商法を受験しておくのも一つの手です。
実務に応用できる
行政書士試験の合格後に行政書士の業務を行いたいと考えている人も入るかと思います。
残念ながら行政書士試験で勉強した内容が実務で活かされることは少ないと考えてください。
あれだけ勉強した行政法であっても、せいぜい許可や認可の概念が役に立つかなくらいのイメージです。
しかし、商法においては業務によっては割と役に立つ場面が多いです。
例えば行政書士のポピュラーな業務の1つである『定款の作成』では会社法の知識がなければ全く意味が分からなく1から勉強する必要が出て来るかと思いますが、ある程度の会社法の知識があれば、あとは定款に関する資料を読みながら作成することができます。
筆者の行政書士試験の商法との付き合い方の体験談
筆者の体験談になりますが、私が行政書士試験を受験した際は1年間かけて商法・会社法を含めて特に方針もなく全科目を同じくらいの力を入れて勉強して試験に挑みました。
この記事の中で一番やってはいけないと言っていた方法です。
なぜこのような勉強方法にしてしまったのかと言うと、行政書士試験を合格した後に会社法・商法が重要となる司法書士に挑戦したかったからです。
その時の行政書士試験には合格することができましたが、あれだけ勉強した商法から得点できたのは5問中2問という散々な結果でした。
得点も180点少し超えた程度と危なっかしい合格で、少し運が悪ければ不合格だったと思います。
なぜこのような結果になってしまったかというと、私自信法律の知識が全くない状態からのスタートだったので、商法の知識を短期間で無理に詰めた結果、科目全体の暗記と理解がどれも中途半端になってしまったのだと今では思います。
もしもう一度行政書士試験を受けろと言われれば、商法は完全に後回しにするか、頻出分野に絞って勉強する方法にしますし、この方法ならばもっと安定した合格だったと確信しています。
1年間かけて勉強した結果、5問中2問しか取れなかった私の反省を活かして頂き、ぜひ行政書士試験の合格のための力になればと思います。
まとめ
今回は商法を捨てるべきかどうかについてまとめました。
もちろん、捨てるのが正しい、捨てないのが正しいは人によって異なるため確実な答えというのは存在しないでしょう。
今の自分の環境や試験までの時間を考えて、上記の商法を捨てることのメリット・デメリットを見比べながら自分なりの勉強方針を確立していきましょう。