生活支援員の給料のお悩み体験談
Aさんのお悩み
障がい者支援施設で生活支援員の仕事をしているのですが、正直かなり大変な仕事です。
それなのにお給料は低くて、まったく余裕がない生活を送っています。
生活支援員の給料ってどこもこんなものなのでしょうか?
Bさんのお悩み
私の働いている会社は残業も多いし、夜勤もあります。
ですが正直なところ仕事の内容に給料に見合っているとは思えませんし、どれだけ長く勤めても給料もあがりません。
この仕事を続けても大丈夫でしょうか?
そんなお悩みを解決いたします。
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生活支援員の給料は安い?
大変なことも多い生活支援員の仕事ですが、給料に満足が行っていないという方も多いようです。
実際に生活支援員の給料はどれくらいなのかと言うと令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査によると310,970円が平均的な給与と公表されています。
ただし、こちらは「福祉・介護職員」と言う枠で公表されているため、障害福祉サービス全般の各職種を総合した平均給与であり、生活支援員の平均給与とは少し異なります。
しかし、生活支援員の方のお話を聞く限りこの金額が比較的平均値に近いのではないかと思われます。
一方で民間給与実態統計調査では日本全体の平均給与は436万円と公表されており、単純に12ヶ月で割った場合は約36万円となりました。
生活支援員の給与と比較するとやはり給与は低いというのが現状のようです。
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生活支援員の手取りはどれくらい?
上記の福祉・介護職員の給料である310,970円を基準にした場合、社会保険料などを引かれた手取り額は以下のようになります。
- 男性
- 東京都在住
- 33歳独身
- 扶養家族なし
総支給額 | 310,970円 |
健康保険料 | 15,744円 |
厚生年金保険料 | 29,280円 |
雇用保険料 | 933円 |
所得税 | 7,070円 |
手取り額 | 257,943円 |
さらにここから住民税や、年齢次第では介護保険料なども引かれるため、手取り額はさらに下がる可能性もあります。
実際に働いている生活支援員の方は上記の平均給与に届かず、手取りは20万を切る方も珍しくはありません。
生活支援員の給与が安いと感じる理由
また、単純な金額の問題ではなく、実際の職務内容と貰っている金額が見合ってないと感じる声も非常に多いのも特徴です。
なぜ生活支援員の給料が低いのか、満足度が低いのか。
その理由を解説していきます。
①仕事がきつい割に給与が見合わない
生活支援員の仕事は正直なところかなりの重労働です。
仕事が終わった頃には体はヘトヘトで、生傷だらけと、ただ仕事をしているだけなのに労災が出てもおかしくないくらいボロボロになるなんてことはよくあることです。
そのため休日は丸一日睡眠で潰れてしまうなんて方もきっと多いと思います。
さらに施設によっては夜間勤務が入ることもあるため、生活リズムの乱れから体調を崩してしまう人もいたりと、過酷な仕事と言わざるを得ないです。
また、業務量も多く、利用者の方が帰った後に事務作業をしなければならない場合などは、残業が発生することも多いです。
しかし、固定残業の制度が導入されているところも多く、毎月何十時間と残業返ったしても給料は上がらず、
どれだけ頑張っても、生活に余裕が出ないという現状が、より不満と不安に繋がっているのではないかと思います。
②活躍が評価されにくい
これは福祉業界全体に言えることですが、業務の性質上自分の活躍が評価されにくく、昇給やボーナスに結びつきにくいと言うのが現状です。
一般企業だった場合ならば、契約を取ってきたり、新商品を開発したりと成果が目に見えやすいため、それを基に評価がボーナスや昇格に反映されます。
しかし、生活支援員として人付き合いがうまいため、この人がいると全体の雰囲気が良くなるからと言って、それが具体的な評価材料にはなりにくいです。
過酷な仕事を頑張っても頑張っても評価されず、将来にも希望が持てないという悩みを持つ方は多いですね。
③事業所の収入に限界がある
これは福祉施設や介護施設全般に当てはまるのですが、施設の売上は利用者の数により報酬が国から支払われる形でまかなわれています。
しかし、受け入れられる利用者の数には法律で制限があるため、必然的に入る報酬には限界があるのです。
その報酬額から事業所代などの固定費や備品などの必要な経費を除くと、人件費に当てられる金額は微々たるものです。
一般企業ならば売上に天井はなく、事業拡大に伴って職員への見返りを大きくすることもできますが、それもなかなか難しいのが現状であるため、どれだけ大きな施設であっても給与額にも限界があるのです。
生活支援員の給与が低く設定されている原因の1つとしてこういった問題点も考えられます。
生活支援員の給料の将来性は?
さて、ここからは生活支援員の給与が将来的に上がっていくのかという疑問ですが、
これについては、すぐに給料が向上するのは難しいが、長い目で見れば上がる可能性は高いということです。
実際に上述した令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査では平成30年と比べて17,250円上がったというデータがあります。
なぜ今後給料が上がっていくと考えられるのかその理由は以下の通りです。
生活支援員の需要の拡大
現在、生活支援員の数は圧倒的に不足しているのが現状です。
「生活支援員を辞めたいと感じる理由」でも解説しましたが、過酷な業務に離職率も低いとは言えない状況で、職員の確保は施設側の最大の問題と言ってもいいでしょう。
その一方で、生活支援員を必要とする障害福祉施設は増えており、利用者の数も年々増加傾向にあります。
そのため、生活支援員の需要は年々高くなっていくと考えられ、企業も国も生活支援員の待遇についてはなんらかの措置をして生活支援員の数を増やさなければサービスを維持できない時代が遠くない未来に訪れると考えられます。
給料を上げていかないと職員を確保できない
障がい福祉施設の経営の仕組みとして、利用者の数に応じて国からの報酬を受け取り、その報酬で事業所を運営していくことになります。
この報酬の仕組みですが、単純に利用者の数に応じた金額が入る訳ではなく、従業員の数も重要になってきます。
なぜなら、報酬というのは一定の従業員の数を確保していない場合、報酬額が減額させられる危険があります。
逆に職員を多く配置すれば報酬が上がるという仕組みになっています。
そのため、施設側は運営はできるからと職員を少なくしたままにするわけにはいかないのです。
しかし、障がい福祉施設の数は増える一方で、生活支援員の離職数は高く、どの施設も従業員の確保に苦労しているのが現状で、生活支援員は売りて市場に近い環境になっています。
そのため、従業員に来てもらい長く勤めてもらうためには給料などの待遇面を向上させる必要が出てくると考えられます。
処遇改善加算の厳格化
障がい福祉サービスには処遇改善加算と呼ばれる制度があります。
給与明細などにも書かれていることもあるため、聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
処遇改善加算とは、簡単に説明すると国から職員の待遇向上のために施設に払われるお金のことです。
このお金は職員に給与等の形で分配しなければならないのですが、正直なところまだまだ制度としては未完成なところが多い制度です。
そのため、この処遇改善で給料が劇的に上がるという状況になっているところは低いと言わざるを得ない状況です。
国も福祉職員の給料の向上には力を入れているようなので、今後制度が発達するに伴い、職員の給与は向上していくのではないかと考えられます。
障害者支援施設で働く人の給料は安い?
ここまでは、生活支援員の給料に注目して解説してきましたが、
では、障害者支援施設で働く他の職種の人の給料は高いのかと言われると、これもそうとは言い切れません。
生活支援員以外の他の職種者の平均的な給料は以下のようになっています。
サービス管理責任者 | 393,090円 |
看護職員 | 411,360円 |
理学療法士・作業療法士 | 398,150円 |
機能訓練担当職員 | 365,500円 |
管理栄養士・栄養士 | 351,460円 |
調理員 | 286,970円 |
事務員 | 343,220円 |
看護師など、より専門性の高い資格者になるほど給料も高い傾向にありますが、
それも障害者支援施設の中ではと言う程度です。
まだまだ他の産業と比較しても障害者支援施設全体の給料が低い傾向にあると言わざるをえません。