生活支援員の方のお悩み
生活介護施設で働いています。
まもなく、サービス管理責任者になるための実務要件を満たせるので、会社からも後押しもあって、せっかくなので研修に応募してみようかと思っています。
ですが、私の施設のサービス管理責任者の方は、正直なところ見ていてかなり大変そうです。
常に色々な書類に追われていて、本来の仕事も大変そうなうえに、
ウチの施設の管理者の方がいまいちボーっとした方で、サービス管理責任者の方が事実上の管理者のような役割をしています。
私が退勤するときも大体残業していて、この前は終電間際まで残業していたと話していました。
サービス管理責任者がいる障がい者施設は、今の場所以外では働いたことがないので、他の施設ではサービス管理責任者の方はどのように働いているのか。
やっぱり大変な仕事なのか、普段はどのような仕事をするのかなど教えて頂けたら嬉しいです。
相談者の方はまもなくサービス管理責任者が取れるということから察するに、現場で長年とても頑張ってこられたのだと思います。
ですが、だからこそ資格を取れば立場や役割も変わってしまうかもと思うと、色々と不安も多いと思いですよね。
サービス管理責任者の業務の大変さは、サービスの種類や各施設の方針、管理者等との兼務の有無などにより異なるため一概には言えませんが、お話を聞く限り相談者様のいる施設のサービス管理責任者は、他の施設と比べてもかなり大変なのではないかと思います。
そこで、この記事では、サービス管理責任者の大変なところや、業務の内容と実態などについて解説していきます。
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サービス管理責任者の大変なこと
サービス管理責任者は重要な役割を担うため、実際に働いている人からは大変な仕事だという声も多く聞きます。
では、具体的にサービス管理責任者として仕事をしていてどのようなときに大変だと感じるのでしょうか。
ここからは、実際にサービス管理責任者に聞いた情報を基に解説していきます。
サービス管理責任者が大変な理由①業務量が多い
サービス管理責任者が作る支援計画は利用者一人1人に作成する必要があります。
作成のためには利用者の方やそのご家族との面談、活動の内容などを通じて現状を理解した上で作成する必要があるため、一人分作成するだけでも非常に大変な仕事です。
さらに半年に一度は支援計画の更新が必要になるため、全員分の作成まで手が回らないなんて悩みを抱えるサービス管理責任者の方も多いようですね。
さらに、本来ならばサービス管理責任者は、支援計画の作成や関係機関との連携など、直接支援職員ではなく間接的に支援する立場に近いはずですが、
実際の現場では人手不足などにより、支援員に近い役割を求められる場合も多いです。
それに加えて、本来の業務とは異なる事務作業や雑務なども兼任している場合もあるため、サービス管理責任者の本来の仕事以外も請け負っていたりと、抱える業務が多くなっているという事業所も多いですね。
そのため、勤務時間内に仕事が終わらず残業だらけで、
本来の業務であるはずの個別支援計画の作成などに手が回らなくなってしまう本末転倒なパターンもあるようです。
サービス管理責任者が大変な理由②人間関係に悩む
サービス管理責任者は、利用者とそのご家族、職員、各関係機関など、非常に多くの人とコミュニケーションを取る必要があります。
その結果、様々な立場の方との間で板挟みになってしまったり、なかなか上手に連携が取れなかったりと人間関係に悩む方も多いですね。
とくにサービス管理責任者は管理職としての役割を担っているため、職員のメンタルケアや全体の調整など人一倍人間関係に気を遣う場面も多いです。
重要な立場のため、上手くやらなければというプレッシャーや責任感も重なり、人間関係について悩む方は多いようですね。
サービス管理責任者が大変な理由③責任感が重い
サービス管理責任者は、まさに施設の顔と言っても過言ではありません。
サービス管理責任者が作成する利用者の方の支援計画に沿って支援の方針は決められ、
さらに、職員への指導や助言なども業務に含まれるため、支援員の頃とはまた違う責任感が求められるでしょう。
また、サービス管理責任者は中間管理職としての役割も担うことが多いです。
しかし、現場と上層部との認識の違いによるすれ違いは福祉の現場では起こりがちで、現場の声と上からの声の板挟みの現状に悩むという人もいます。
とくに人手不足などの運営上の問題はサービス管理責任者にはどうにもできないけれど、上はなかなか動いてくれず、
しかし人手が足らずに現場が回らないなんて本当に勘弁して欲しいなんて経験をしたことがある方も多いと思います。
もちろん、支援員の方と協力しあって業務にあたるため、すべてを自分一人で抱える必要はまったくありませんが、
それでも立場上、必要以上の責任を感じてしまう方も多く、責任感というプレッシャーが厳しいと感じる人も少なくありません。
サービス管理責任者の仕事内容
ここまではサービス管理責任者の大変な点について解説してきましたが、どのような仕事をしているかご存じですか?
障がい者施設で働いている方は聞いたことがあるとは思います、
しかし、具体的な仕事内容まではよく分からないという方も多いのではないでしょうか?
サービス管理責任者は障害者総合支援法に指定される障がい福祉施設に必ず配置する必要がある役職です。
略して「サビ管」なんて呼ばれることが多いですね。
サービス管理責任者は主に以下の役割を担っています。
サービス管理責任者の仕事内容
- 個別支援計画の作成
- 支援員等の従業員の指導と助言
- 関係機関・関係者との連携
障がい福祉施設を利用するためには、サービス管理責任者が作成する個別支援計画が必要です。
支援計画には利用者の方の現在の状況に基づいた将来的な計画が書かれていて、その計画に基づいた支援や活動を行います。
さらに、支援員への指導・助言や関係機関との連携も役割の1つであるため、管理者に近い役割も担っていることも多いです。
このように障がい福祉施設の運営において重要な役割を担うため、まさに施設の顔と言っても過言ではないですね。
補足情報
ちなみに、サービス管理責任者は管理者とも兼任できるので、管理者兼サービス管理責任者という形でやっているところも多いのではないかと思います。
現在、障がい福祉施設は年々増加しているため、必要なサービス管理責任者の数も増えています。
取得するには難しい条件をクリアする必要がありますが、非常に需要の高い資格として注目を集めることも多いですね。
サービス管理責任者に向いている人は?
サービス管理責任者は管理職と相談職の両方の性質を有しています。
そのため以下のような条件に該当する人などはよく向いていると言えると思います。
サービス管理責任者に向いている人
- コミュニケーションを取るのが好きな人
- 観察力が優れていること
- 自分で考えて動ける人
もちろん、これらに該当していないからと言ってサービス管理責任者に向いていないという訳ではありません。
大切なのは自分なりの考えや信念を持ちつつ、周りの声に耳を傾けながら日々進んでいけることだと思います。
サービス管理責任者が働く場所
サービス管理責任者は障がい福祉施設であれば幅広く活躍することができます。
働ける施設としては主に以下のような施設があります。
サービス管理責任者が働く施設
- 共同生活援助(グループホーム)
- 生活介護
- 自立訓練(生活訓練・機能訓練)
- 就労継続支援施設A型・B型
- 就労移行支援事業所
このように活躍の幅は広いため、自分に合った施設を選ぶことができるのも魅力の1つです。
サービス管理責任者の年収は意外と高い?
サービス管理責任者の給料は福祉業の中では高めに設定されている場合が多いです。
どれくらいなのかと言うと令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査によると409,300円が平均的な給与と公表されています。
社会人全体の平均が約36万円程度と言われている点から見ても、好待遇なことがよく分かります。
サービス管理責任者は事業所に必ず一人はいなければならないため、企業側も他の職員よりも給料を高めに設定して好待遇にしていると推測されます。
一方で福祉・介護職員は321,820円と、かなり待遇に差があることも分かります。
役割や立場を考えるとサービス管理責任者の方が待遇がいいのは分かりますが、なぜこれほどまでに差がでるのでしょうか?
その理由はこちらの記事で解説しているため、ぜひ参考にしてください。
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サービス管理責任者の手取りは?
総支給額から社会保険料を引いた手取り額はどれくらいでしょうか?
これは住んでいる場所や年齢によって異なるため、あくまで参考値ですが、上記の409,300円を以下の条件に当てはめて計算してみましょう。
- 男性
- 東京都在住
- 36歳独身
- 扶養家族なし
総支給額 | 409,300円 |
健康保険料 | 20,172円 |
厚生年金保険料 | 37,515円 |
雇用保険料 | 1,228円 |
所得税 | 12,590円 |
手取り額 | 337,795円 |
手取り額はこのようになりました。
ここから住民税などもかかるため、実際はもう少し低いかもしれませんが、一般的な社会人の平均よりも高い金額を貰えているようですね。
サービス管理責任者は処遇改善加算を貰える?
職員の賃金の改善のために施設に配られる処遇改善加算ですが、実はサービス管理責任者はもらうことができません。
これは処遇改善加算を貰えるのが、生活支援員などの直接処遇職員に規定されている職種に限定されているためです。
注意ポイント
ちなみに、サービス管理責任者であってもグループホームなどで直接処遇職員と兼務している場合は貰うことができます。
そのため、「他の職員は貰っているのに私は貰ってない!」と不安を感じてしまうかもしれませんが、これは全サービス管理責任者に共通なので安心してください。
ちなみに2019年より、サービス管理責任者ももらうことができる「特定処遇改善加算」の制度が始まりました。
しかし、制度の内容や手続きが難しく、まだまだ普及していないのが現状です。
今後もう少し制度が広まって、サービス管理責任者のお給料がさらに上がることを期待したいですね。