放課後等デイサービスに勤める人からの相談
私は放課後等デイサービスに勤めて3年になります。
実は今この仕事を辞めようかと悩んでいるところです。
仕事自体は子どもたちと関わることができて楽しいのですが、業務量が多くて毎日残業続きで疲れてしまいました。
昇給などもなく、ボーナスも微々たるもので、そんな環境に我慢ができず、入社した頃にいたスタッフは全員辞めてしまい、今では私が一番の古株になってしまいました。
でも、私がいなくなると事業所の細かいところまで知っているスタッフがいなくなってしまい辞めてもいいものかと悩んでいますがどうしたらいいのでしょうか?
最近注目されて数も増えており、求人数も多く就職先として人気に見える放課後等デイサービスですが、
相談者の方のように、辞めたいけれど周りへの迷惑や子どものことなどを考えて辞められないという人も多く様々な問題を抱えて働く職員もいます。
この記事では放課後等デイサービスを辞めたいと考える理由とその実態を解説していきます。
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放課後等デイサービスを辞めたいと考える理由
①体力的にきつい
子どもたちのは大人から見れば信じられないくらいのパワーと体力を持っています。
ときにはその元気さに励まされることもありますが、続けていればその体力に身体がついていけず体力的にきついと感じることもあるのではないでしょうか。
また、障がいを持つ子はどうしても危険な行動をとることが多いです。常に近くで見守り、危険があった際はすぐに止める必要があるなど俊敏性も求められる場面で、上手く身体が動かなかったときなどに体力の限界は身をもって感じるという人も多いようです。
体力だけではありません。時には子どもを抱える必要などもあり、腰を痛めるということもあります。
身体を酷使する業種だけに、体力を理由に継続して続けることが難しいという理由の退職も多いですね。
②トラブルや事故が怖い
障がいのある児童は危険意識が健常児と比べて低く危険な行動が多いのも特徴です。
他害や、誤食、時には脱走や道路に飛び出してしまいそうになることもあります。
どの事業所でも事故をなくすために最善は尽くしているはずですが、それでも事故やヒヤリハットが全くなくなるということはないでしょう。
今回は大した事故でなく済んだけど、タイミングが悪ければもっと大変な事故につながっていたかもと想像すると全身から血の気が引いて心臓がバクバクして来るなんて経験はこの仕事をしていれば誰もが感じたことがあるはずです。
また、送迎も担当している場合は車両事故の不安も抱えなければなりません。
帰り送迎時に子どもたちを降ろした瞬間気が抜けて、事業所に帰る途中でヒヤッとした経験があるという人もいるのではないでしょうか。
子どもが好きで始めた仕事だからこそ、あらゆる事故と隣合わせの状況に気を病んで辞めて行くという人も多いようです。
③給料が低い
残念ながらどの放デイでも給料の低さというのは問題視されており、中々昇給も期待できないというのが現状です。
ちなみに、平成29年に行われた、障がい福祉サービスの実態調査では放デイの職種ごとの給与は以下のように公表されています。
職種 | 常勤の平均年収 | 非常勤の平均年収 |
---|---|---|
児童指導員又は指導員 | 2,586,851 | 1,917,193 |
保育士 | 2,716,548 | 1,925,708 |
児童発達支援管理責任者 | 3,298,587 |
参考サイト:平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果
日本全体の平均給与が436万円と言う調査結果もあることから、それに比べると給料はかなり低いと言えます。
最近では処遇改善の新たな制度が導入されるなど待遇面の向上に向かっているようにも見えますが、残念ながら現場で恩恵を感じている職員はまだまだ少ないのが現状です。
管理者や児童発達支援管理責任者になれば多少は賃金も改善されますが、誰でも簡単になれる訳ではありませんし、業務量と給料が釣り合ってないということも多いです。
人にはそれぞれ生活がある以上、待遇に悩んで辞めて行くというのは退職の理由としてもとても多いですね。
④人間関係のストレス
人と接する仕事である以上、他の仕事よりも多くのコミュニケーションを求められます。
さらに放課後等デイサービスでは様々な資格や職種の人が働く場合もあるため、価値観や支援方法でぶつかるケースも多くなってきます。
以前ある放デイにお邪魔したところ、管理者の方からこんな話を聞きました。
「ウチは児童指導員に加えて看護師も勤務しています。
今まで指導員として子どもと接して来た人と医療の面から子どもに接して来た看護師とでは、お互い悪意はないのですがどうしても考え方に違いが生まれてしまうようで、ただただお互いを否定し合うという悪循環な関係ができあがってしまっている」
お互いの経験や知識を共有しあえれば素晴らしいとは思いますが、現実はこのように中々上手くいかない場合も多く、思いどおりにいかない職場の人間関係に悩んで退職を選んでしまうというケースも多くあります。
⑤自分には合わない・向いていないと感じてしまう
放課後等デイサービスで働いていて、このような場面に胸が苦しくなった経験はありませんか?
- 子どもが言うことを聞いてくれない、
- パニックを起こさせてしまった。
- 面と向かって悪口を言われた。
子どもの多感性と、障がいの個性が合わさり想定外のできごとなどしょっちゅう起こりますが、その度に自分にはこの仕事は向いていないのではないかと不安に感じることってありますよね。
さらに自分では上手く対応できなかった状況も、他の職員が上手に動いているところを見てしまったりすると、どうしても自分と比較して自信を失ってしまうことも多いです。
人にはそれぞれの良さがある、色んな大人がいて良いんだと考えるのが上手な割り切り方だとは思いますが、なかなか上手くいかないですよね。
このように自身の喪失や向いていないと退職してしまう方も多くいます。
⑥人手不足にうんざりする
人手不足はどの事業所も頭を抱える問題です。
職員がなかなか定着せず、頻繁に入れ替わるところも多いですね。
3年勤めたら立派な方だと言われることもあるこの業界のため、冒頭の相談者の方のように、入社時にいた職員が数年後にはほとんど周りにいなくなっているなんてことも多くあります。
事務作業や役割分担など、職員が入れ替わる度に、既存の職員の負担も大きく、悪循環になってしまっているというところも多いです。
放課後等デイサービスを辞めたあとの転職先は?
上記のように様々な理由で放課後等デイサービスを退職していきます。
では辞めた人たちはどのような道を進んでいくのかというと、やはり退職理由は次の転職先を考えるために最も重要な一因となるようで、体力的な問題や事故への不安を抱えて転職する人は、そのような不安の少ない事務職への転職を希望する人が多いようです。
また、給与面などに問題があるけれど、今後も福祉に関わる世界に携わっていたいと考えている人は、就労継続支援施設や保育士資格などを活かして保育園に転職するという人もいます。
このように自分の退職理由というのは次の転職を成功させるための重要なカギになります。退職理由を一度見つめ直して、自分に合った職場へと転職できることを応援しています。
放課後等デイサービスで指導員として勤めて実務経験を積むことで「児童発達支援管理責任者」や「サービス管理責任者」の資格を目指すこともできます。
児童発達支援管理責任者は放デイなどの児童に関する施設、サービス管理責任者は障がいを持つ大人向けの施設で活躍することができる資格で、関わりたいというならばぜひ取得をおすすめする資格の1つです。
それぞれの資格の内容を詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
児童発達支援管理責任者の将来性って?年収や大変なところを解説します
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児童発達支援管理責任者の将来性って?年収や大変なところを解説します
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サービス管理責任者の仕事って大変!?その仕事内容などを解説
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在職中に資格を取得しておくのも一つの手
辞めたいと考えているけど次の仕事がまだ決まっていないという人は在職中に資格を取得しておくのも有効です。
退職後の生活はしばらくは貯金や失業手当などでまかなえるかもしれませんが、次の仕事がなかなか決まらないとなると今度は異なる理由でメンタルが削られていくことになります。
焦って適当な会社に入ったはいいけど、同じような悩みを抱えることになっては意味がありません。
そこで転職に強い資格や、福祉に関する資格を取得しておくことも検討してみましょう。
資格があれば退職後も次の転職にも有利になりますし、何よりも自分の安心と自信に繋がり落ち着いて次の職場を見極めることができます。
どのような資格が良いかと言うと、放課後等デイサービスに勤めている方のなかには、勤務の実務経験で受験資格を得られる「保育士」や「社会福祉士」なんかを目指す人もいれば、転職に強い「簿記」や「宅建」を取得しようとする方も多いようです。
それ以外にも独学で短期間で取れる資格なども色々あるため、
}「取得しやすい福祉系のおすすめ資格ランキング」や「転職に有利な資格を紹介」の記事を参考にしながらぜひ自分の将来につながる資格を探してみてください。
ちなみに、放課後等デイサービスに勤めていると「児童指導員」の資格を取得できる可能性があります。
児童指導員があれば、放課後等デイサービス以外にも様々な児童福祉施設ではたらくことができます。
以下の記事で児童指導員の取得方法や働ける場所を解説しています。
-
児童指導員の働く場所は?資格の取得方法と一緒に徹底解説
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また、児童指導員の仕事内容や資格にについて詳しく知りたいという方は以下の記事を参考にしてください。
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児童指導員の仕事は大変!?現場からの体験談をまとめました
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社会人になってから保育士になるには?保育士になるまでのルートを解説
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辞めたいと思ってもバックレはNG!どうしても厳しいなら退職代行もアリ
放課後等デイサービスの仕事を辞めたい、もう限界だと感じている方も多いと思いますがバックレだけは避けましょう。
これは、会社や責任のためではなく、なによりあなたの将来のためです。
バックレをすれば様々な手続きが未了のため、次の仕事に差し支える可能性もあり、職場からの問い合わせの電話に罪悪感を感じて逆にメンタルをやられてしまったりする人も多いです。
また、福祉の業界は実務経験が非常に大切になる業界です。
実務経験次第で取れる資格があったり、放課後等デイサービスであれば児童発達支援管理責任者の研修を受けられたりと、今後またこの業界で働くことがあるならば、職場で実務経験証明書を貰ってから辞めないと後々かなり後悔することになります。
「どうしても正面から退職を言い出せないけれど、これ以上はもう限界」
「明日だって行きたくない」
そんな方は「退職代行」のサービスを利用するのも一つの手です。
退職代行ならば、正規の手続きを代行会社が代わって進めてくれて、即日辞められる可能性もあります。
さらに、実務経験の証明を出してもらうように依頼ができたりしますし、企業側もバックレられるくらいなら退職代行でも良いから正しく手続きをして欲しいというのが本音です。
退職代行の会社は多くありますが、実は悪質なところも多い中で【退職代行ガーディアン】は評判も良くおすすめです。
退職代行ガーディアンは、他の退職代行よりも費用が安価で依頼できる点が魅力なうえ、
東京都労働委員会に認証されている法適合の合同労働組合がおこなうため、違法性がなく、安心性が高い点が非常に高評価です。
自分の力で辞められればそれにこしたことはありませんが、どうしてもそれが難しいというならば退職代行を利用するのもアリですね。
放課後等デイサービスを辞めたい理由まとめ
最後にもう一度放課後等デイサービスを辞めたいと考える理由をまとめると、以下のようになります。
- 体力的にきつい
- 事故などが怖い
- 給料が低い
- 人間関係のストレス
児童や周りの職員の方のことを考えると辞めにくいという環境の方も多いと思いますが、何よりも優先するのは自分の体です。
辛いまま無理をし続けて体を壊しては意味がありません。
自分が辞めたいと考える理由はなにか、
ぜひこの記事などを参考にしながらそれらを一度洗い出してみて、将来自分にとって何が最も良い選択になるのかをじっくりと考えるきっかけにしてみましょう。