就活生Aさんのお悩み
将来、施工管理の仕事に就きたいと思っています。
ですが、ネットを見ると「施工管理の仕事はブラックだからやめとけ」なんて声を多く聞きます。
求人などを見ると悪くない条件の求人も多いように見えるのですが、なぜ施工管理の仕事はやめておけなんて言われるのでしょうか。
ぜひお聞きしたいです。
施工管理と聞くとブラックなイメージがわく方も多いのではないかと思います。
ですが、一方で施工管理がどのような仕事かあまり分からないという方も多いようです。
なぜ、これほどまでに施工管理の仕事にブラックなイメージが付いてしまったのでしょうか。
この記事では施工管理の仕事をやめとけと言われる理由とその実態について解説していきます。
Table of Contents
施工管理をやめとけと言われる理由は?
施工管理を経験したことがある人からは「施工管理の仕事はやめとけ」という声を聞くことも多々あります。
どんな仕事にも辛いところや、しんどいと感じる理由はあると思いますが、なぜ施工管理の仕事はこのような声が多いのでしょうか?
それは、施工管理という仕事特有の様々な事情により、他の仕事にない大変な理由が多くあることが原因ではないかと考えられます。
その原因を1つずつ確認していきましょう。
①過酷な労働環境
- 長時間勤務や休日出勤なんて当たり前。仮に休みがあっても当たり前のように電話がかかってきて、全然休んだ気になれない。
- 業務量も多いし、次から次へとトラブルが起きたり、悪天候のせいで工期が遅れたり、まったく気が休まることがない。
- 体育会系のノリが多いので、どうしてもその雰囲気に着いていけない。
まず施工管理という仕事について簡単に説明すると、「工事に関わる全体的な管理を行う」ことがメインになります。
そのため、施工管理の仕事は工事の現場で管理を行うことはもちろん、工事完成に必要な様々な事務作業までこなす必要があります。
朝は現場に出勤して、17時に現場での作業が終わった後で事務作業を始めるなんて当たり前、
工期に追われているときなどは特に業務は多忙を極め、朝出勤して日中は現場の管理、夕方に工事が終わってから自分の事務作業に取り掛かることもあるため、帰りは終電間際なんてこともざらにあります。
これに加えて、工事のトラブルや、悪天候による工事の遅れなどがあれば、残業や休日出勤は増えるため、仕事の時間は大幅に伸びることにもなります。
なぜ、これほど過酷な労働環境になってしまうのかと言うと、上記で説明した業務の多忙さや仕事の性質の問題もありますが、
なにより長時間労働が当然という風潮が業界全体に広まってしまっていることが大きな原因の一つでしょう。
実際に国が建設業全体の労働環境を調べたところ、全体の65%は4週4休という厳しい日程で仕事をしているというデータもあるくらいです。
※4週4休とはその名の通り4週間の内4日間の休日で働くことを言います。
参考:建設業における働き方改革
このような過酷な労働環境を経験してしまうと、施工管理の仕事はやめとけと言いたくなる気持ちはたしかに分かりますね。
②業界全体の人手不足
- 次々に周りの同期たちが辞めて行くので、業務のしわ寄せが自分のところに来る。
自分も辞めようと何度も思ったが、タイミングを逃し続けて今も働いています。 - 新しい人材が全然入ってこないし、入って来ても3か月程度ですぐに辞めてしまうケースが多いので年中人手不足状態が続いてる。
現在、建設業界全体が人手不足と言われており、施工管理の仕事も常に人手不足という企業も多いです。
そのため、人手不足が既存のスタッフへしわ寄せが来る悪循環となっている企業も少なくありません。
なぜ、これほど人手不足が深刻化しているのかというと、大きな原因の1つとして若手が育たないというのが大きいでしょう。
上記でも述べた過酷な労働環境などにより、5年以内に多くの新卒が辞めて行ってしまうのが現状のようですが、一方で新しく施工管理の仕事を始める人間が少なく、若手が育たない業界なんて呼ばれることもあります。
働き方改革により建設業界の労働環境も改善に向かってはいるようですが、このままではますます人手不足は深刻化するのではないかと考えられます。
建設業界において3年以内の離職率は、高卒で48.5%と言うデータがあるくらいです。
なぜ、これほどまでにすぐ辞める人が多いのでしょうか。
以下の記事でその理由について解説しているので、興味のある方は参考にしてください。
-
施工管理がすぐ辞めるのは別におかしくない?新卒・転職者の悩みを解決します
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③ブラック企業に当たる可能性も高い
- 無茶な工期の設定を毎回されるせいで、業務量が非常に多くなってしまい、休日や休憩時間なんてあってないようなものだった。
- 入社した当時から残業代未払いが当然だったので、退職してホワイト企業に移るまでそれに疑問を持つこともなく、なかなかのブラック企業だったと思う。
施工管理という仕事の性質上、ブラック企業と呼ばれるような職場も多くなりやすい傾向にあります。
しかし、勘違いしてはいけないのが、完全週休2日を目指す会社や、待遇の向上を目指す会社も増えているということです。
施工管理の仕事が大変なのは事実ですが、それでもやりがいのある仕事と感じる人も多く、
待遇の良いホワイト企業にさえ勤めることができればこれほど楽しい仕事はないと感じる人もいます。
しかし、一方で昔ながらの従業員を奴隷のように扱う企業があるのも事実で、
「残業代の未払い」、「無理な工期の設定」、「パワハラ」などが平気で行われるところもあります。
このような、一部の悪質な企業のせいで施工管理という職種全体がブラックと呼ばれ、
結果的に施工管理はやめとけという声が高まり、人手不足に繋がる悪循環になっているのは悲しいですね。
④肉体労働も多い
- 施工管理と言っても、現場の掃除や、荷物運びや水くみなど細かい雑務は意外と力仕事の場面が多かった。
- 一日中外で仕事をすることもあり、夏は炎天下、冬は極寒とかなり辛いです。
現場の管理と聞くと、身体を動かすのは職人さんで、施工管理はあくまで指示出しのようなイメージで体力的に疲れることはないようにも見えるかもしれません。
しかし、実際には職人さんが働きやすいように様々な雑用(掃除や荷物の運搬など)をこなすことも多く、肉体労働の面も多い仕事です。
それに加えて、長時間労働に耐える体力も必要なので、場合によっては職人さんよりも体力を要する可能性だってあります。
このような環境に身体が思ったよりついて行かず、事務などに転職する人もいます。
施工管理にもホワイトな企業はある?
ここまで施工管理の仕事のブラックな部分について解説して来ましたが、1つ理解しておいて頂きたいのが、
労働環境は勤める企業によって大きく異なるということです。
たしかに、ブラック企業が多い業界であるのも事実で、以下のような酷い待遇を従業員に強いるところもあります。
- 人手不足を解消しようとしない
- 残業代の未払いがある
- 人を育てず使い捨てるような扱いをする
- 世間のルールを無視したような独自ルールが横行する
- 無茶な工期設定を押し付けられる
このような環境下で労働を強いられれば施工管理という仕事自体が嫌になっても無理はありません。
しかし一方で、まともな企業では、業界の人手不足やブラック体質を問題視して、残業時間や休日出勤を減らすように努力したり、待遇向上に努めている企業も多くあります。
さらにそれらの良い流れを後押しするように、国が進めている働き方改革によって現在「建設業働き方改革加速化プログラム」が進められています。
これにより、長時間労働の是正や、工期設定に余裕を持って取り組めるようにするなどの取り組みが進められています。
これを機に少しでも業界全体がホワイトに向かって推進していくといいですね。
施工管理の給料が高いのはなぜ?
さて、ここまで施工管理技士の辛い部分について解説してきましたが、施工管理の給料は他の業種と比べても比較的高く設定されていることが多いです。
新卒でも400万以上、キャリアを積めば600万以上、大手ならば1,000万越えも狙えるところもあるなど、待遇の良い求人も多いですね。
中でも給料の高い施工管理には以下のような特徴が見受けられます。
- 大手に勤めている
- 任される現場が大きい
- 残業代などが正しく支払われている
- 国家資格を取得していて資格手当が付いている
これらの条件が揃った場合は高収入になる場合が多いです。
大手や任される現場が重要なものの場合はもちろんですが、業務の性質上残業や休日出勤が多いため、残業手当が付きやすいというのも大きな理由の一つです。
もちろん、休みが減るくらいなら給料が低いままでいいという人にとってはあまり魅力的には感じないかもしれませんが、しっかりと稼ぎたいという人には、この給料の高さは非常に嬉しいという声も多いです。
また、施工管理技士の国家資格を取得すれ資格手当が付くところも多いですね。
施工管理の仕事自体は資格がなくてもできますが、資格者がいることで工事の現場の人員配置の条件が満たせたり、
資格者がいることで経営事項審査の得点アップにも繋がるため、企業側は資格者に対して資格手当を付けるなど優遇しているところが多いです。
まとめ
施工管理はやめとけと言われますが、やはり最大の問題はブラックな体質の企業に勤めてしまい施工管理の仕事に嫌気が差してしまうことです。
仕事の内容自体は非常にやりがいのある仕事でもあります。
企業の評判やホームページなどをよく調べて、入社前にその辺りをしっかりと見極めましょう。
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施工管理の仕事が辛いと感じる理由とその対処法を解説します
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