「歯科衛生士にならなきゃよかった」
そんな言葉を歯科衛生士の方から聞くことがあります。
歯科衛生士の資格は特に女性からは人気が高い資格で、仕事に困ることも少ない非常に優れた国家資格の一つです。
それにも関わらずなぜこのような意見が出てきてしまうのでしょうか?
この記事では仕事の実態を踏まえながら歯科衛生士について詳しく解説していきます。
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歯科衛生士にならなきゃよかったと思う理由は?
国家資格である歯科衛生士の資格。
人気の高い資格の一つで、取得するには歯科衛生士の養成課程のある学校を修了し、国家試験を合格しなければならず取得の難易度も高めです。
そんな苦労を乗り越えて取得したにも関わらず、実際に歯科衛生士として働いた人からは「歯科衛生士にならなきゃよかった」なんて声を聞くことがあります。
実際に日本歯科衛生士会が公表しているデータによると、歯科衛生士を今後も続けたいかという問いに対して、「そう思わない」と解答した人が22.8%もいることが分かりました。
なぜ、このように言われることがあるのでしょうか。
今回は実際に歯科衛生士の方の声や各種データを踏まえて、その実態を解説していきます。
①職場の人間関係がきつい
歯科衛生士が勤めることの多い病院やクリニックの場合、経営者である院長先生が常に側にいる環境だったり、女性の比率が多く偏りがちとなるため、閉鎖された空間で常に同じ仕事をしていると、どうしても関係がこじれやすく、人間関係の問題が多かれ少なかれ表面化してくることも多いようです。
クリニックなどは、狭い空間で逃げ場のない状況であることも多いため、とくに院長先生や、先輩とソリが合わないと苦しい思いをしてしまうようです。
そのプレッシャーや圧力に負けてしまう人も多いですね。
②将来に不安を感じる
個人経営のクリニックも多いため、お世辞にも整った福利厚生とは言いにくい環境であることも多いです。
また、院長の高齢化や体力の限界などで潰れてしまうことなどもあるため、そうすれば働く場所が突然なくなってしまうなんてこともありえます。
また、長く続けていけば認定歯科衛生士などの資格を取るなどができますが、どうしてもそれ以上のキャリアアップが難しく、将来性が見出しにくいというのが大きいようです。
③給料が低い
歯科衛生士全体の給料を見ると、残念ながらそこまで給料は高くないようです。
常勤の場合、300万円以上400万円未満が35.3%、130万円以上300万円未満が31.3%と他の産業と比べても決して高いとは言えない給料の実態があります。
④土日休みが取れない
土日出勤というのは歯科衛生士である以上仕方ないことではありますが、
土日出勤だと友人や家族との時間が合わなくなることが多いです。
歯科衛生士である以上、土日を今後も休めないと思うと辛いですね。
歯科衛生士はすぐ辞めるってホント?
歯科衛生士は働き始めてもすぐ辞めてしまうことが多いなんてことを聞いたことはありませんか?
歯科衛生士に限らず福祉業界では、このようにすぐ辞めてしまう定着率の悪さが問題視されることも多く、
離職率は業界全体で問題視されています。
実際に歯科衛生士の方の転職回数を調べたところ、勤務先を変わったことがない人が22.2%に対して、転職したことがあると解答したのが76.4%であり、4回以上あると回答した人は19.6%もいることが分かっています。
転職の多さに加えて、現在の勤務先の経験年数は5年未満と回答した人が38.7%もいることから、定着率の低さが見て分かります。
現場で働く歯科衛生士の方からお話を聞くと、3年続けば良いほうで、1か月や3か月程度で早々に見切りをつけて辞める人も多くいるくらいです。
なぜこのようにすぐ辞めてしまうのかは一概には言えませんが、やはり最も多く聞く理由が人間関係の問題です。
給料や待遇面については元からある程度把握できているため、これが原因ですぐ辞めることは多くないようですが、
人間関係ばかりは入社してみないと分からない面も多く、
上述した通り、院長や周りのスタッフとの関係性がうまく行かずにすぐ辞めてしまうということも多いようです。
また、歯科衛生士は国家資格でもあり、資格さえ持っていれば転職にはそこまで困ることも少ないと言われています。
そのため、転職への敷居が低く、面倒であるなら別のところへ行けばいいという意見もありました。
歯科衛生士になってよかったと感じるときは?
ここまでは歯科衛生士のデメリットに着目して解説してきました。
歯科衛生士にならなければよかったと感じる人がいる一方で、歯科衛生士になってよかったと感じている方もたくさんいるのも事実です。
ここからは歯科衛生士になってよかったと言う理由について解説していきます。
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①国家資格なので食いっぱぐれない
歯科衛生士の資格を持っていれば、比較的転職などには苦労しない資格の一つです。
その理由は業界全体の人手不足が最も大きな原因でしょう。
そのため、好条件な求人であっても比較的就職しやすく、将来的に食いっぱぐれないため取得しておいて良かったという人も多いです。
②誰かの役に立っていることを直接実感できる
歯科衛生士の仕事は人助けの面が強い仕事です。
患者さんから「ありがとう」の言葉を聞けるというのは、それだけでやりがいを感じますし、誰かの役に立っているんだというのは仕事をする上で重要なモチベーションになります。
それが楽しい、やりがいだという歯科衛生士の方も多いですね。
③周りから勝ち組と見られる
歯科衛生士の内情を知っている人から見れば、しんどいし地味な仕事なんて感じるかもしれませんが、
一般的に見て歯科衛生士のイメージは「華やか」「知的そう」「高収入」など勝ち組に近いイメージを抱かれることが多いようです。
周りから尊敬の眼差しを集めるのは、決して悪い気分はしませんね。
歯科衛生士に向いてない人は?
これから歯科衛生士を目指す人にとっては自分に歯科衛生士が向いているのかというのは気になるところだと思います。
そこで、歯科衛生士に向いてない人の特徴を一つずつ解説していきます。
もちろん、これに該当したから歯科衛生士になれないと言う訳ではありませんし、自分の弱点を知ればいくらでも克服ができます。
あくまで一つの目安としてご覧ください。
人と関わるのが好きではない
歯科衛生士の仕事は患者さんはもちろん、周りのスタッフとの連携も大切です。
仕事中はもちろん、日々のコミュニケーションも重要となるため、人と関わることが苦になる場合、歯科衛生士の仕事はきついと感じる可能性が高いです。
手先を使う細かい作業が嫌いと言う人
歯科衛生士の仕事は非常に手先を使う場面が多い仕事の一つです。
代表的な例を上げるならば「歯石の除去」、いわゆるスケーリングと呼ばれる作業ですね。
歯医者に行けば手慣れた手つきで歯石を取っているため簡単な作業に見えるかもしれませんが、実際は数ミリ単位の細かい世界で作業をしており、特に難しい部位の場合は上手い下手で患者さんへの負担も変わることも多いです。
それ以外にも細かい作業は多いため、こう言った作業に苦手意識があるならば、歯科衛生士として頑張るにはかなりの努力が必要になるでしょう。
歯科衛生士に向いている人は?
歯科衛生士にならなきゃよかったと言う意見を持つ人がいる一方で、歯科衛生士の仕事が楽しく取得して良かったと言う人もいます。
歯科衛生士の資格を取って良かったとなれる、歯科衛生士に向いている人の特徴とはどんなものがあるのでしょうか?
誰かの役に立つのが好き
歯科衛生士の仕事は人助けです。
辛いことや大変なことも、患者さんの笑顔や「ありがとう」の言葉を貰えれば吹っ飛ぶというような、誰かの役に立つのが好きという人にとっては、歯科衛生士の仕事は向いていますし、長く続けられるでしょう。
誰かと協力して何かに取り組むのが好き
歯科衛生士の仕事は何よりチームワークが大切です。
歯科医師の先生を中心として、周りのスタッフと連携を取りながら業務をこなしていくことが多いため、
誰かと連携しながら仕事をこなしていくようなスタイルが好きであれば向いていると言えます。