施工管理技士の内の1つである土木施工監理技士の資格に関する仕事内容や取得のメリット。
また、取得のための土木施工監理技士試験に関する受験資格等を解説していきます。
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土木施工管理技士とは
土木施工管理技士は、施工管理技士として定められる国家資格の内の1つです。
道路工事や河川工事、ダム工事や橋梁工事など人の生活に欠かせない様々な工事の土台となる土木工事を行う上で技術者の監理・監督や施工計画の作成工程管理、安全管理、品質管理など全体の施工の管理を行うのが主な役割です。
土木施工管理技士の1級と2級の違い
土木施工管理技士を取得すると建設業者に必須となる専任技術者と主任技術者(監理技術者)になることができます。
1級は大規模な工事にも携われる監理技術者になることができるのに対して、2級は土木、鋼構造物塗装、薬液注入の3つの分野に細分化されるため、取得した分野に応じた工事での主任技術者となることができます
また、2級が一般建設業者の専任技術者になれるのに対して、1級であれば規模の大きな工事も請け負うことができる特定建設業者で専任技術者となることができるなど、1級と2級では携われる工事の規模が変わって来るのが大きな違いとなります。
具体的になることができる業種は以下の表のとおりとなります。
土木一式工事 | とび・土工 | 石工事 | 鋼構造物工事業 | 舗装工事業 | ||
1級土木管理施工技士 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
2級土木施工管理技士 | 土木 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
鋼構造物塗装 | ||||||
薬液注入 | 〇 |
しゅんせつ工事 | 塗装工事 | 水道施設工事 | 解体工事 | ||
1級土木管理施工技士 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | |
2級土木施工管理技士 | 土木 | 〇 | 〇 | 〇 | |
鋼構造物塗装 | 〇 | ||||
薬液注入 |
◎=特定建設業の専任技術者、工事現場における監理技術者となれる者
〇=一般建設業の専任技術者、工事現場における主任技術者となれる者
土木施工管理技士は中卒・高卒でもなれる?
まず、土木施工管理技士は中卒・高卒でもなることができるのかと言うことについては「可能です」。
土木施工管理技士になるには「土木施工管理技術検定」と呼ばれる国家試験に合格する必要があるのですが、まずは受験資格を得る必要があります。
学歴によって受験資格は異なるため、まずは自分の受験資格を確認してみましょう。
2級土木施工管理技術検定の受験資格
高卒の場合
- 高等学校で指定学科を卒業し、3年の実務経験を積んでいること
- 高等学校で指定学科以外を卒業し、4年6か月の実務経験を積んでいること
中卒の場合
- 8年以上の実務経験を積んでいること
1級土木施工管理技術検定の受験資格
中卒・高卒共通
2級土木施工管理技術検定に合格している者
高卒の場合
- 高等学校で指定学科を卒業し、10年の実務経験を積んでいること
- 高等学校で指定学科以外を卒業し、11年6か月の実務経験を積んでいること
- 高校を卒業後8年以上の実務経験(その実務経験に指導監督的実務経験を含み、かつ、5年以上の実務経験の後専任の監理技術者による指導を受けた実務経験2年以上を含む)を積んでいること
- 専任の主任技術者の実務経験が1年以上あり、高校で指定学科を卒業した後で8年以上の実務経験を積んでいること
- 専任の主任技術者の実務経験が1年以上あり、高校で指定学科以外を卒業した後で9年6か月以上の実務経験を積んでいること
中卒の場合
- 15年以上の実務経験を積んでいること
- 専任の主任技術者の実務経験が1年以上あり、13年以上の実務経験を積んでいること
主にこのような受験資格が必要になります。
この条件さえ満たせれば国家試験が受験できるため、合格することで中卒・高卒でも土木施工管理技士になることが可能です。
しかし、受験資格の要件は上記の通り複雑で、これだけ見ても「何が指定学科か」「実務経験って?」など疑問も多いと思います。
そのため、安易に自分に受験資格があると思い込むことはせず、受験に挑戦する前に上記を参考に試験を管轄している「全国建設研修センター」で自分が本当に該当しているのか必ず確認するようにお願いいたします。
土木施工管理技士の実務経験のごまかしは危険
さて、上述したように中卒や高卒でも土木施工管理技士になることができますが、このときに大きな壁となるのが「実務経験」です。
3年や4年くらいの実務経験なら簡単と感じる人もいるかもしれませんが、実際にこの実務経験を満たそうとすると意外と大変なんですよね。
実務要件を満たせたとしても、前に働いていた会社から実務経験の証明をしてもらえなかったり、仕事内容的に実務経験に該当しなかったりと色々な理由で実務経験を満たせずに土木施工管理技士になれない人は多くいます。
そんなとき、「実務経験をごまかしてしまえばいいのでは」なんて考えが頭に浮かぶ方も正直少なくないのではないでしょうか。
実際のところ、ひょっとすると知り合いの建設業者に依頼して嘘の実務経験証明書を発行して貰い土木施工管理技士に挑戦しようなんて考える人もいるかもしれません。
ですが、これは絶対におすすめしません。
実はこの実務経験のごまかしは、様々な理由で意外とバレてしまうケースが多々あるようです。
そうなれば土木施工管理技士としての資格が取り消しになる恐れがあるのはもちろん、嘘の実務経験を発行した会社側も様々なリスクを負うことになります。
それだけのリスクを背負い実務経験をごまかすのはかなりリスクがありますよね。
なかには本当に実務経験は積んでいたのに、前に勤めていた会社の倒産などで証明ができなかったりするような納得のいかないケースもあるかもしれません。
ですが、それでも後から負うおそれのあるリスクを考えるならば、実務経験は正式な内容で挑戦することをおすすめいたします。
土木施工管理技士を取得するメリット
専任技術者になれる
建設業で許可を取る場合は営業所に専任技術者を配置しなければなりません。
しかし、専任技術者になるための要件は厳しく、専任技術者になれる人材も限られています。
専任技術者を見つけられずに建設業の許可を諦める建設業者も多いですが、土木施工管理技士を持っている場合は対応する建設業での専任技術者となることができます。
また、2級の場合は一般建設業の許可において専任技術者となれますが、1級ならば規模の大きな工事も行える特定建設業の許可においても専任技術者となることができます。
主任技術者・監理技術者になれる
建設業の許可を得た建設業者は施工する工事現場に主任技術者又は監理技術者を必ず配置する必要があります。
これらの技術者は技術面や作業員に対して全体の監理監督を行う役割を担うため、なるためには専任技術者と同じく厳しい要件が定められています。
しかし、土木施工管理技士を取得すれば対応する業種で主任技術者になることができ、さらに1級であれば大規模な工事に携わる監理技術者になることができます。
基本的には許可を受けた建設業者は各工事現場に対応する技術者を置かなければならないため、建設機械施工技士はとても重宝する資格になります。
なることができる建設業種は、上記の専任技術者の一覧表の◎が監理技術者〇が主任技術者となれるものです。
キャリアアップ・転職に有利
上記でも解説した通り、建設業者にとって専任技術者や主任技術者などは必須の役職であり、
対応する建設業種も多い土木施工管理技士は企業からの需要も高いため、資格を持っていることが求人の必須要件となっていたり、企業内の規程で手当の要件として定められていることも多いです。
また、受験資格自体が実務経験を多く必要とするため、建設業界でキャリアを長く積んでいる証明にもなります。
社会保険労務士の受験資格を取得できる
土木施工管理技士1級・2級ともに取得することで社会保険労務士試験の受験資格を取得することができます。
現在、様々な労務環境の問題が懸念されています。
労務のプロである社会保険労務士は今後さらに需要も高まることがされます。
しかし、社会保険労務士には受験資格があるため、土木施工管理技士を取得することでその受験資格を得ることができるため、将来的なキャリアアップにも繋がります。
土木施工管理技士の働く場所
土木関係での建設業者において活躍できること多いため、建設全般や道路工事などを行う土木関係の求人が多いです。
建設機械施工技士を取得していれば、専任技術者や主任技術者・監理技術者にもなれるため、全体を管理する責任者として働くことも多く、待遇の良い求人も多いです。
求人例
業種 | 建設業 |
仕事内容 | 公共工事における道路、橋梁など土木工事の施工管理をお願いします。工事の準備段階から完成までを管理して頂く業務になります。 具体的には事前の施工計画、施工における管理・監督、発注者との打ち合わせ、施工完了後の各種書類作成を行ってもらいます。 |
募集資格 | 土木施工管理技士1級又は2級(いずれか必須) 普通自動車免許(必須) |
勤務時間 | 8:00~17:00 |
給与 | 40万円~50万円 |
賞与 | 年2回 |
年間休日 | 120日 |