「無期転換ルール」ができたことにより最近少しずつ知名度が広がって来ている無期雇用派遣をご存じでしょうか?
なかなか聞きなれない言葉ですので、知らない方も多いのではないかと思います。
この記事では無期雇用派遣のメリットやデメリットを解説していきます。
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無期雇用派遣とは?
今までは派遣会社と派遣を希望する人の間では、派遣されている期間だけ雇用契約を結ぶ、「有期雇用契約」を結んで働く方法が一般的でした
派遣会社に登録しておいて、希望する派遣先の会社があった場合、派遣会社を通じてその企業で働く、いわゆる登録制の派遣と呼ばれるものです。
一般的に派遣の働き方としてイメージするのはこの働き方だと思います。
一方で無期雇用派遣とは、2013年に行われた法改正をきっかけに注目され出した派遣の働き方で、派遣会社と雇用期間の定めをせずに雇用契約を結ぶものを言います。
上述した有期雇用の契約と何が違うのかと言うと、
派遣会社と無期雇用の契約を結んでいる場合、同じ派遣先で3年しか働けないというルールの適用がなくなります。
そのため、派遣先の企業から派遣切りなどがない限りその企業で働き続けることができます。
さらに、派遣先が決まるまでの期間でも派遣会社から給料が支給されます。
無期雇用派遣はやめとけと言われる理由
上述した解説を見ると無期雇用派遣はメリットばかりのように見えると思います。
しかし、実際に無期雇用派遣を経験した人からは「無期雇用派遣はやめとけ」なんて言われることもあります。
その理由を調べたところ「デメリットしかない」とまで言い切る人もいました。
なぜ、良い条件のそろっているように見える無期雇用派遣がここまで悪く言われるのでしょうか。
無期雇用派遣のデメリットを一つずつ解説していきます。
無期雇用派遣はやめとけと言われる理由①正社員ではない
上述した通り、無期雇用派遣とは派遣会社と雇用期間の定めのない契約を結ぶことを言います。
雇用期間の定めのない契約と言うと、企業の正社員などもこれに該当するため共通しますが、
無期雇用派遣は決して正社員ではありません。あくまで期間の定めがなくなっただけです。
あくまで立場は派遣社員という扱いになるので、正社員のような扱いなのに正社員ではないと言うある意味中途半端な立場になってしまうのです。
やはり正社員かそうでないのかというのは世間体や将来性的にも大きな違いがあります。
正社員と同じような待遇で働くぐらいなら、どうせなら正社員として働きたいと考える人も多いようですね。
無期雇用派遣はやめとけと言われる理由②登録型派遣よりもハードルが高い
無期雇用派遣の場合、登録型の派遣と違い派遣会社と契約期間の定めのない契約を結ぶことになるため、派遣会社も採用には非常に慎重になります。
そのため無期雇用として採用されるためには、書類選考や面接など、正社員と変わらないレベルの選考をクリアする必要があります。
登録制の派遣の場合、登録には選考などが必要ないため気軽に働けるのが大きなメリットという人も多かったです、その利点がなくなることになります。
そのため、無期雇用派遣も条件だけ見ると良く見えたけれど、
無期雇用派遣に採用される努力をするくらいならば正社員を探した方がマシだと考える人も少なくないようですね。
ちなみに、同一の派遣会社で有期雇用の派遣スタッフとして働き続けて5年以上勤めた場合、派遣会社に対して無期雇用に換えて貰うように申し出ることもできます。
これは「無期転換ルール」と呼ばれているもので、派遣会社はこの申し出を基本的に断ることもできません。
条件を満たすまでのハードルは高いですが、これを利用して最初は有期雇用として働き続けて無期雇用を目指すという方法もあります。
一方で、この無期雇用に転換されるのを防ぐために最大5年までと言う条件を付している派遣会社もあります。
無期雇用を希望するならば、最初の登録時にこの辺りはしっかりと確認するようにしましょう。
無期雇用派遣はやめとけと言われる理由③自由な働き方とは離れる
派遣のメリットの一つに自由な働き方や自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる点や、
派遣の契約期間が終わった後は、少し休んでから次の仕事を探すなど柔軟な働き方ができる点がありました。
しかし、無期雇用派遣の場合は派遣会社も待機期間中も給料を払う必要があるので、待期期間をなるべく作らずに仕事を紹介してきます。
また、登録制の派遣と違い、紹介された企業を断ることは基本はできません。
無期雇用となる際の最初の契約時に契約内容に含まれている場合が多いです。
登録制の派遣の場合は、自分に合わないと思った場合は紹介された派遣先を断ることもできますが、それも難しいため、自分の希望する条件で働けるとは限りません。
そのため、自由な働き方ができるとは限らないのがデメリットと言えるでしょう。
無期雇用派遣はやめとけと言われる理由④失業保険の利用ができない
無期雇用派遣の場合、仮に派遣先から切られて待期期間となった場合でも派遣会社との契約が残っている限り失業保険を受けることはできません。
ちなみに、登録型の派遣の場合だと、「1週間の所定労働時間が20時間以上」、「31日以上の雇用見込みがあること」の条件を満たして雇用保険に加入しており、
かつ、失業保険の受給の要件を満たしていれば失業保険を受け取ることが可能です。
そのため、登録制の派遣として働いていたならば、契約期間が終わったら失業手当を受け取り、教育訓練給付などを受けて、新しいスキルを身に付けようという計画を立てることもできましたが、それもできません。
無期雇用派遣にはデメリットしかない?
ここまで解説してきた通り、無期雇用派遣として働くのにも色々なデメリットがありますが、
なかでも一番の理由としては「登録制の派遣のメリットがことごとく潰れていること」ではないかと思います。
派遣と言う働き方は正社員と違って不安定なところも多いと言われます。
ですが自分のライフスタイルに合わせた働き方ができたり、気軽に色々なところで働けたりと、
派遣として働く人は、それなりのメリットがあり派遣という働き方を選んでいます。
しかし、無期雇用派遣の場合は、一般的に派遣として受けられるメリットがことごとく潰れてしまっているのです。
そのため一部の人からは「無期雇用派遣はデメリットしかない」とまで言われることもあります。
ですが、もちろんそんなことはなく、無期雇用派遣という働き方にもメリットは多くあります。
そこで次に無期雇用派遣として働くメリットをご紹介していきたいと思います。
無期雇用派遣のメリット①収入が安定しやすい
無期雇用派遣の最大のメリットは収入面の安定です。
登録制の派遣で働いている場合は、契約期間が終了して次の派遣が見つかるまでの間、収入がなくなってしまうので、生活面の不安定さが問題となる人も多いです。
しかし、無期雇用派遣の場合は待期期間も給料が発生するため、その辺りの心配をしなくて済みます。
また登録制では出ない交通費やボーナスの支給がある場合も多いので、より安定した生活を送ることができるというのは魅力的ですね。
無期雇用派遣のメリット②経験を豊富に積める
無期雇用派遣では、上述した通り安定した環境で様々な企業で働くことができます。
様々な人と出会いながら多くの経験を積みたいと言う気持ちで派遣で働くことを選んでいる人もいます。
そういった人にとっては生活面も安定したうえで、この希望も叶えられるため、強いメリットと言えるでしょう。
無期雇用派遣のメリット③正社員ではない
無期雇用派遣は正社員ではないというのはデメリットとして先に紹介しましたが、これをメリットとして捉える人も多くいます。
あくまで派遣と言う立ち位置は変わらないため、正社員ならではのしがらみやプレッシャーを受ける必要がないというのは、人によっては大きなメリットです。
正社員として働くプレッシャーをなくすことで気楽に働けるようになったという人もいますね。