学童で働くAさんのお悩み
私は今、学童保育で働いています。
利用している児童の中に障がいを持つ子がいて、接していく内に障がい児の分野に興味を持つようになりました。
障がいについて調べていくうちに、放課後等デイサービスという障がいを持つ児童の学童のような施設があることを知りました。
自分の経験を活かせるのではと興味があるのですが、障がいを持つ方と関わったことは今の学童以外では経験がなくて、転職するには少し不安を感じています。
検索すると「放課後等デイサービス きつい」などのネガティブなワードも出てくるのも気になってしまい…
実際に放課後等デイサービスで働くうえで、どのようなときにきついと感じるのでしょうか?
働いたことがある方にぜひお話を聞きたいです。
障がい児の学童保育としても知られる放課後等デイサービス。
近年注目されていることもあり放課後等デイサービスの数は増え続け、都市部では飽和状態になる地域もあるほどです。
そのため比較的求人も多く、児童や福祉に関する仕事に興味のある人は転職や就職先として考えている方もいると思います。
この記事では放課後等デイサービスで働く前に知ってもらいたい仕事の実情やきついと思うところを解説していきたいと思います。
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放課後等デイサービスで働くのはきつい?
放課後等デイサービスでは様々な障がいを持つ児童が学校が終わった後に訪れるため、他の障がい者施設や学童保育とは似てるようで全く異なる雰囲気があります。
そのためこの仕事特有の大変なところをそれぞれのポイントごとに解説していきます。
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①仕事が大変で体力勝負
子どもの体力とパワーは大人の想像をはるかに凌駕します。
そんな子どもを相手にしながら常に全体を意識して動き回らないといけないため非常に体力を使う仕事です。
仕事に慣れてくれば体力の配分も上手になって来ますが、多動傾向の強い子となれば来所中はずっと走り回っている子も珍しくなく、どんなに慣れたスタッフでも一日相手にすれば子どもたちが帰ったあとはぐったりしていることはしょっちゅうです。
ポイント
夏休みなどの長期休みでは子どもたちが毎日朝から来所するため使う体力はさらに増えるため、仕事が終わって家に帰ったらそのまま布団に倒れ込むなんて人も多いくらい体力はもっていかれます。
②トラブルも多く神経を使う場面が多い
放課後等デイサービスでは基本的には児童の利用定員10名と決められているため、保育園や学童保育のように数えきれないくらいの児童が一度に来ることは少ないです。
しかし、常に走り回ってる多動傾向の子や予定と違う行動を取ったり、環境の変化によるパニックを起こしてしまう子。
一人では起き上がることができない子など一人一人が色々な特性を持っているため、児童の持つ特性を見極めて常に考えながら行動をしなければならないため常に神経を張り巡らせる必要があります。
そして、何より神経を使うのが児童の危機管理です。
上記の通り様々な障がいを持っている子が同じ場所で活動するため、常識では測れないような危険が多くあります。
他の子を叩いてしまう他害が激しい子、一日中走り回っている多動傾向の強い子、口に入るサイズならなんでも口に入れてしまう誤食の激しい子など常に様々な危険が伴っています。
その環境の中で子どもたちに危険が及ばないように活動をする必要があるため体力と共に心的にも削られる場面が多いです。
③人間関係の問題
放デイに限らず、どんな仕事でも共通するのですが、人間関係に問題があると仕事をしていても辛いですよね。
広くはないワンフロアの空間で、少ない数のスタッフで支援を行う事業所も多いため、意地悪な方や性格のきつい方がいると、常にその人の顔色をうかがいながら仕事に当たらなければいけないなんてこともあります。
また、飲食店などと違い、面接前に職場の雰囲気を下調べすることも難しいため、人間関係の良し悪しは運の要素が大きいというのも難しいところです。
もし、ボランティアなどに入ることが可能ならば事前に雰囲気を見てから求人の応募を検討してみてもいいかもしれませんね。
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④事務作業の多さ
放課後等デイサービスと言っても子どもたちの面倒を見てればいいだけではありません。
子どもたちのいない午前中や子どもの帰宅後の時間を使っての事務作業も重要な業務の1つです。
シフト作成や送迎の管理、出欠席の確認や請求業務に経理業務、さらに活動の準備など事務作業も多岐に渡ります。
なかには事務員を雇って請求業務などを一任しているところもありますが、支援員が事務も兼務している施設も多いです。
ポイント
放デイに来る子どもたちは近隣の様々な学校からやって来るうえに学年もバラバラです。
そのため子どもが通う学校の学年ごとの下校時間に合わせて送迎表を作成しなければならないため同じ学校に一日に2回お迎えがあるなんてこともあります。
そのためドライバーや職員の配置の調整に頭を悩ませるのは放デイあるあると言えますね。
このように、事務作業が大変な仕事でもあるためワードやエクセルの知識はほぼ必須と言えるでしょう。
⑤給料が低い
放課後等デイサービスの給料は全体的に低いのが現状です。
ちなみに、平成29年に行われた、障がい福祉サービスの実態調査では放デイの職種ごとの給与は以下のように公表されています。
職種 | 常勤の平均年収 | 非常勤の平均年収 |
---|---|---|
児童指導員又は指導員 | 2,586,851円 | 1,917,193円 |
保育士 | 2,716,548円 | 1,925,708円 |
児童発達支援管理責任者 | 3,298,587円 |
参考サイト:平成29年障害福祉サービス等経営実態調査結果
現在はもう少し向上していると思いますが、おおよそこのぐらいの金額が現状です。
月給に直すと20万円前後と言った金額でしょう。
ちなみに、民間給与実態統計調査では社会人全体の平均的な給与は436万円と公表されているため、比較してもかなり安いです。
また、1世帯の用途別の平均的な支出金額は統計局が以下のように公表しています。
様々な世帯の平均的な支出額の為、食費や住居費は人により大きく異なると思いますが、この図に当てはめて考えても、貯蓄のできるような給料でもないことが分かると思います。
国も給与の低さは問題視しているようで最近では特定処遇改善加算の制度ができたりと業界全体で制度的には少しづつ改善傾向に向かってはいますが、それでも安定した給与にはまだまだ程遠いです。
そのため将来的に家族を持って放課後等デイサービスの指導員としてやっていこうと思うと、どうしても金銭面で苦労することにが多いです。
そのため指導員としてキャリアを積んで管理者や児童発達支援管理責任者になってやっと少し安定して来ます。
就職したとしても待遇面での理由の離職者は多くいるため、このようなことがないように入社前にきちんと下調べは行いましょう。
⑥人手不足
下記でも解説しますが、放課後等デイサービスの職場は人の入れ替わりが激しいところも多いですね。
そのため、常に人手不足だったり、新人ばかりで仕事の勝手が分かる人がいないなど、人手の問題による既存のスタッフの負担が大きいという施設もあります。
その結果、残っている職員も辞めてしまって悪循環に陥る施設も多いです。
人手不足自体は従業員の力ではどうにもできないため、そこがまた辛いポイントですよね。
⑦自分には合わないと自信を失ってしまう
- 子どもたちが言うことを聞いてくれない
- 保護者からクレームを受けてしまった
- どのように子どもに接して良いかわからない
どんなにベテランの方でもこのような悩みに当たることはあったと思います。
しかし、このようなことが続くと働いている内に自分には合わない・向いていないのではないだろうか。と自信を失って来てしまう人もたくさんいます。
周りからは気にすることはないと言って貰ったとしても、本人としては中々割り切れないですよね。
放課後等デイサービスの離職率の実態は?
放課後等デイサービスの離職率については、正式に公表されているデータなどはないため正確な数値は分かりかねますが、
やはり離職率が高いと感じている事業所は多いようです。
職員の平均的な在職期間は、早ければ1年程度、長くても3~4年程度で転職していく方が多いという話はよく耳にします。
実際に働いている人でも、気づいたら自分以外スタッフがほとんど入れ替わっていたなんて方も多いのではないでしょうか。
なぜこれほど離職率が高いのかは上記の仕事がきつい理由で上げられるところが大きいですが、それに加えて放課後等デイサービスは人手不足の事業所も多く、資格さえ持っていればそこまで転職先に困ることも少ないのが現状です。
そのため、無理にきついと感じる職場にこだわらず、より良い新天地を求めて転職するという人が多いのが一つの原因ではないかと考えられていますね。
放課後等デイサービスのやりがい
これから放課後等デイサービスで働きたいと考えている人のためにあえて厳しいところを取り上げましたが、その分やりがいも大きな仕事です。
放課後等デイサービスには様々な障がいを持つ児童が通って来ます。放デイに通う子のなかには、同学年の普通級に通う子なら当たり前にできることでも、その子にとっては難しくてできないという場面がたくさんあります。
しかし、児童一人一人の特性を見極めて適切な支援を行いながら児童と二人三脚で色々なことに挑戦していけば、昨日まではできなかったことが今日はできたという瞬間に出必ず出会うことができます。
その時の児童の嬉しそうな顔を見れたときは感動で泣いてしまう人もいるくらいです。
もちろん、そこに行きつくまでにはきついと感じることもたくさんあると思いますが、仕事を通じてこれほど誰かの役に立っていると感じる仕事も中々ありません。そこには必ずやりがいを感じることができるでしょう。
放課後等デイサービスでは働くには?【これから働く方向け】
ここまでは放課後等デイサービスのきつい点に関して解説してきました。
それでも放課後等デイサービスで働きたいと言う人は多く、魅力的な仕事であるのも事実だと思います。
放課後等デイサービスで働くには以下のような資格があれば比較的歓迎されることが多いです。
- 児童指導員
- 保育士
- 児童発達支援管理責任者
- 理学療法士・作業療法士
- 臨床心理士・公認心理士
- 看護師
- 普通免許
放課後等デイサービスでは上記のような資格を持っていれば歓迎される場所も多いです。
このように考えている方もいると思いますが、ご安心ください。
資格がなくても働くことは可能です。
上記の資格があれば優遇されたり、働き先が増えることは間違いないですが、資格がなければ働くことができない訳ではありません。
上記でも理由を上げましたが、人手不足に悩む事業所も多いため、無資格者歓迎の募集を出している事業所もあるため、気になる方はぜひ一度問い合わせてみましょう。
ちなみに、送迎ドライバーが不足している施設も多いため、普通免許を持っていれば、資格がなかったとしても雇って貰える可能性はグッと上がるでしょう。
児童指導員になると仕事が大変になる?
上述した資格の中でも、放課後等デイサービスで働く職員の数としては最も多いと考えられるのが児童指導員の任用資格。
この資格は保育士のように試験を合格したり学校を卒業したりは必ずしも必要ではなく、
「3年かつ540日以上」又は、「高卒以上の学歴+2年360日以上」、対象となる児童福祉施設で実務経験を積むことで取得できるため、上述した資格の中では最も取得しやすい資格です。
そのため、無資格で指導員として勤務していたとしても、上記の実務経験を積めば誰でも取得ができるのです。
勤務しているとある日突然管理者から「もう児童指導員になれるよ」なんて言われる人もいます。
資格手当も付くし良いことのようですが、「児童指導員になったら仕事が大変になるの?」なんて不安に感じる人もいるようです。
ですが、基本的には児童指導員と言っても他の指導員とやることは変わらないという場合がほとんどです。
施設側としては児童指導員がいると、様々な利点があるため資格者を置いておきたいだけなので仕事内容は変わらず資格手当だけ増えるという場合が多いですね。
もし、それでも気になる方は直接施設の管理者に聞いてしまっても良いと思います。
児童指導員の仕事については「児童指導員の仕事は大変?」の記事でも詳しくまとめているので参考にしてください。
放課後等デイサービスを辞めたいと思ったら?
今働いているけど、きついところも多くてもう辞めたいと思ったならば、思い切って転職するのも一つの手です。
上記でも述べた通り、福祉の業界ならば資格と経験さえあれば転職先には困ることはまずありません。
あなたを必要としている職場は周りを見ればいくらでも広がっています。
「転職の役に立つような資格なんて持ってないよ」なんて方でも、放課後等デイサービスに勤めていれば「児童指導員」の資格を取得することもできます。
なので、知らない内に取得していたなんてことも多くあります。
児童指導員を取れば放課後等デイサービス以外にも働ける場所は広がるため、あなたの可能性もさらに広がるでしょう。
残った子どものことや同僚のことなど、なかなか一歩が踏み出せないという方もいると思いますが、自分の人生のためと思い切って踏み出す勇気も大切なことです。
上述したとおり、児童指導員は放デイで働いていれば要件さえ満たせば自然と取得できる資格です。
自分が児童指導員を取得しているかどうか分からないという方は以下の記事で自分が取得できているかぜひ確認してください。
児童指導員が働ける場所の紹介もあわせて解説してためきっと参考になるはずです。
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児童指導員の働く場所は?資格の取得方法と一緒に徹底解説
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また、児童指導員以外にも障害福祉施設で働くことができる資格を以下の記事で紹介しているのでこちらも参考にしてください。
放課後等デイサービスで働く職員の体験談
Aさんの体験談
放課後等デイサービスで児童指導員として働いています。
毎日大変なことも多いですが、充実した日々を送っています。
この仕事の楽しいところはなんと言っても「子どもたちとの関わり」ですね。
様々な障がいを持つ児童が訪れるため、児童発達支援管理責任者の方や周りの職員と話しながら行った支援がとても上手くいって、子どもたちの成長と笑顔を直で見れるのは本当に幸せですし、楽しいです。
逆に大変なところは、やっぱりトラブル対応でしょうか。
子どもたちのケガや、送迎トラブル、保護者からのクレーム対応など、マニュアルどおりに行かないことも多い仕事のため、想定外のトラブルは日常茶飯事です。
それでも私にとっては天職に近い仕事です。
Bさんの体験談
放課後等デイサービスに以前勤めていました。
子どもが好きで始めた仕事で、障がい児との関わったことはほとんどありませんでしたが、仕事をしていく内に接し方や支援の方法や大切さなども少しずつ理解していけて、仕事自体は楽しかったです。
ですが、そこまで大きくない会社ですので、上層部との現場の方針の違いや、人間関係のトラブルなどが直に現場の人間に影響してきます。
このような問題に嫌気が差して今は転職活動中です。
この仕事を続けたいとは思いますが、慎重に選ばないと同じことを繰り返しそうなので、今度はもう少し大きな会社に入れたらいいなと思っています。