測量業に従事するための国家資格であり、土地家屋調査士の科目免除の効果もある資格として最近人気を高めている測量士補という資格。
測量士補とはどのような資格なのか、測量士補になるにはどうすればいいのか等、測量士補について解説していきます。
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測量士補とは
測量士は測量業務を行う際に測量の内容や測量方法を記載した測量計画を作成し実施します。
その計画に基づいて測量の補佐を行うのが測量士補です。
測量士補は測量計画を作成することができないため、測量士の下位資格として扱われていますが、実際の測量業者では測量士や測量士補の有資格者が多く在籍していて、様々なキャリアを積んでいる職人の方も多いため、ベテランの測量士補が新人の測量士に業務を教えるなど資格の枠にとらわれずに柔軟に対応している場合が多いです。
上位資格である測量士になるためには測量の現場での実務経験が必要になる場合があるため、測量士補の立場で下積みをする人や、不動産の表題部の登記を行う土地家屋調査士になるための試験が一部免除されるなど、測量に関する資格の登竜門的な一面もあります。
測量士補を取るメリット
①測量業に従事できる
②土地家屋調査士試験の科目を一部免除できる
①測量業に従事できる
測量業者などが行う測量業務については測量法に規程されており、この測量法を守らなければなりません。
測量法では測量の種類に応じて以下の3つの種類に分類されています。
- 基本測量
すべての測量の基礎となる測量で、国土交通省国土地理院の行うもの - 公共測量
基本測量以外の測量のうち、小道路もしくは建物のため等の局地的測量又は高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除き、測量に要する費用の全部若しくは一部を国又は公共団体が負担し、若しくは補助して実施するもの - 基本測量及び公共測量以外の測量
基本測量又は公共測量の測量成果を使用して実施する基本測量及び公共測量以外の測量(小道路もしくは建物のため等の局地的測量又は高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く。)
引用元:中部地方整備局 建政部
この測量業の内、基本測量と公共測量に関しては測量士と測量士補の独占業務となります。
つまり公共工事は必ず測量士・測量士補の資格が必要となるため、ほとんどが公共工事で扱われる土木工事などで測量を行う場合は必ず資格を有していなければなりません。
②土地家屋調査士試験の科目を一部免除できる
難関資格である土地家屋調査士の試験は午前の部、午後の部と分かれており、
測量士補・測量士・1級建築士・2級建築士のいずれかの資格を持っていれば難関とされている午前の部の試験が全て免除になるのです。
土地家屋調査士の受験者で午前の部を受験している人はほとんどいないと言っていいほど土地家屋調査士になるためにはいずれかの資格は必須であり、中でも測量士補は4つの資格の中で比較的簡単に取れる資格のため、土地家屋調査士を目指す人の多くは測量士補を先に取ることになります。
測量士補になるには
測量士補になるには、下記の方法があります。
測量士補になるには
①測量士補試験に合格した者。
②大学・短期大学・高等専門学校において測量に関する単位を取得して卒業した者。
③国土交通大臣の定めた養成施設で1年以上知識および技能教育を受けた者。
参考サイト:公益社団法人日本測量協会
元々大学で測量について単位を取得していた場合を除くと、就職してから測量士補になるには養成施設に入るか測量士補試験を受けるかのいずれかを選ぶことが多いですが
ただし、測量士補試験は出題される問題も基礎的な問題が多く、国家試験の中では難易度の低い試験に分類されるため、測量士補になることを目的とするならば、時間的にも金銭的にも勉強をして測量士補を目指すのが一般的になります。
測量士補試験
測量士補試験は1年に1度行われます。国家資格の中でも難易度は割と低めに設定されており、合格率も例年30%前後が合格しています。
ただし、他の国家資格と違い数学の知識がある程度必要になってきます
測量士補試験のデータ
試験日 | 5月中旬(日曜日) |
試験時間 | 13:30~16:30まで(3時間) |
受験資格 | 特になし |
申込期間 | 1月初旬から1月末まで |
受験手数料 | 2,850円 |
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
令和1年 | 13,764人 | 4,924人 | 35.7% |
平成30年 | 13,569人 | 4,555人 | 33.5% |
平成29年 | 14,042人 | 6,639人 | 47.2% |
試験内容
マークシート方式で28問が出題されます。
1問あたり25点の配点で計700満点中450点が合格ラインとされています。
出題科目は以下の8科目から出題されます。
出題科目
測量に関する法規
多角測量
汎地球測位システム測量
水準測量
地形測量
写真測量
地図編集
応用測量
どの科目も基礎的な内容が多く問題自体も過去問からの出題が多いため、試験の難易度自体はそこまで高くありませんが、計算が必要になる科目があるため数学の知識が必要になります。
私も土地家屋調査士受験のために測量士補の勉強を始めようと思い市販の参考書を購入したのですが、参考書は三角関数の知識やピタゴラスの定理などの知識があることが前提として書かれている箇所も多く、完全に文系タイプで中学の数学も忘れかけていた私にとっては最初は苦労しました。
しかし、数学の知識も基礎的な内容で出される分野も決まっているため、数学が苦手な方でもそこまで苦労することはありません。
また、測量士試験と違い測量士補の試験では電卓の使用が不可となるため、勉強の中である程度自力で計算できる力も身に着けておく必要があります。
測量士補試験の詳細については、測量士補試験を解説!独学でも合格できる?を参考にしてください。