社会福祉主事の資格をご存じでしょうか?
福祉の仕事に勤めている方なら名前は聞いたことがあるという人も多いと思います。
しかし、調べてみると意外と取得方法が複雑で分かりにくく、自分でも取得できるのか分からないという声も多く聞きます。
そこでこの記事では社会福祉主事の資格の取り方について詳しく解説していきます。
関連記事
Table of Contents
社会福祉主事とは?
社会福祉主事とは、正しくは社会福祉主事任用資格と呼ばれています。
都道府県や、市町村に設置された福祉事務所で社会福祉に関する業務を行うための資格です。
ポイント
任用資格と呼ばれる資格は、医師免許などのように持っているだけで効力が発生する資格と違い、持っているだけではその効力は発揮せず、
該当する職務に任用されて、初めてその効力が発揮される資格を言います。
つまり、あくまで「社会福祉主事になることができる」という資格であり、福祉事務所で社会福祉主事として雇われて初めて効力を発揮する資格ということになりますね。
社会福祉主事を高卒で取るには?
まず、はじめに社会福祉主事の取得方法についておさらいしていきましょう。
社会福祉主事の取得方法については、社会福祉法にて以下のように定められています。
- 大学、短大、旧制大学、旧制高等学校、旧制専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉主事任用資格選択必修科目のうち、いずれか3科目以上の単位を修得して卒業した者
- 厚生労働大臣の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
- 社会福祉士又は精神保健福祉士
- 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
- 1〜4に掲げる者と同等以上の能力を有する者として厚生労働省令で定める者
これらのいずれかの条件を満たすことで社会福祉主事の資格を取ることができます。
この内、高卒では要件を満たさない①や、現在実施されていない④の社会福祉事業従事者試験を除き、②または③の方法で取得する必要があります。
養成機関又は講習会の課程を修了する
これから社会福祉主事を取得したいと言う方にとって最も一般的な取得方法がこちらになります
養成機関又は講習会は以下のものがあります。
- 全国社会福祉協議会中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程、日本社会事業大学通信教育課程(1年)
- 指定の養成機関を修了する(22科目1500時間)
- 都道府県等講習会を修める(19科目279時間)
全国社会福祉協議会中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程、日本社会事業大学通信教育課程(1年)
この二つで実施している通信課程を修了することで社会福祉主事を取得することができます。
ただし、中央福祉学院の方は社会福祉事業などの施設に従事している必要があり、在学中に退職してしまうと、受講中だったとしても受講資格を失ってしまうため注意しましょう。
また、日本社会事業大学の方は、所属長のみの応募となっているので、該当しない場合は中央福祉学院の方を選択しましょう。
指定の養成機関を修了する(22科目1500時間)
専門学校などの形で用意されている養成機関を修了することで取得する方法です。
卒業をすることができれば、社会福祉主事の資格はもちろん、専門学校の卒業資格を得ることもできるので、「高卒のままじゃちょっと」と考えている方は、この機会に専門学校に通って社会福祉主事を狙ってみてもいいですね。
最終学歴が中卒であったとしても、高卒認定試験を合格すればこのような養成機関に進学することも可能です。
高卒認定試験は、実は意外と簡単な試験としても知られているため、気になる方はぜひ挑戦してみましょう。
高卒認定試験の試験内容や難易度については「高卒認定試験は簡単すぎ?」の記事も参考にしてください。
都道府県等講習会を修める(19科目279時間)
各都道府県等で実施される講習会を受講し指定されたカリキュラムを修める方法です。
ただし、こちらは現在ほとんど実施しているところがないので、あまりおすすめはしません。
社会福祉士又は精神保健福祉士を取得する
社会福祉士または精神保健福祉士は、大学を卒業して取得する以外にも、該当する施設で一定の実務経験を積むことで、養成機関に入る資格を得ることができ、養成機関を修了して、国家試験に合格することで取得することができます。
ちなみに、社会福祉士と精神保健福祉士を高卒で取得する場合は、このルートを選ぶことになります。
ただし、社会福祉士や精神保健福祉士を持っているならば、社会福祉主事よりもこちらの資格の方が役に立つ場面が多いので、社会福祉主事取得のためにこれらの資格を取得すると言う方はほぼいないのではないかと思います。
社会福祉士や精神保健福祉士を取得して、ついでに社会福祉主事の任用資格を得ることができたという形になりますね。
社会福祉主事の資格はユーキャンでも取得できる?
たまに「ユーキャンで社会福祉主事は取得できるの?」という質問を受けます。
この質問にお答えしますと、ユーキャンでは社会福祉主事の資格は取得できません。
ここまで解説してきた通り、社会福祉主事の取得方法は限定的であるため、ユーキャンの講座をどれだけ受けても社会福祉主事の資格は取れません。
ちなみに、私もユーキャンのホームページを確認しましたが、そもそも社会福祉主事の講座の取り扱いがありませんでした。
名前と内容の似ている社会福祉士の講座ならありましたが、こちらの講座だけ受けても社会福祉主事はもちろん社会福祉士も取れません。
社会福祉士の国家試験を受験するためには、まずは学歴や実務経験を積むなどの難しい受験資格をクリアしなければなりません。
この受験資格はユーキャンの講座を受けても取得できません。
ユーキャンの講座はあくまで受験資格を得た人のための試験対策という講座なので、その辺りの勘違いのないようにしましょう。
福祉系の資格は受験資格も複雑なものが多く「ユーキャンに講座があるから、これを受講すれば資格が取れる!」と勘違いしてしまう人も多いです。
福祉系の講座を受ける際は、必ず自分に受験資格があるのかを確認するようにしましょう。
社会福祉主事は高卒でもなれるの記事のまとめ
今回は高卒で社会福祉主事を取る方法についてまとめました。
最後に高卒での社会福祉主事の取得方法をもう一度確認していきましょう。
ポイント
- 全国社会福祉協議会中央福祉学院社会福祉主事資格認定通信課程、日本社会事業大学通信教育課程(1年)
- 指定の養成機関を修了する(22科目1500時間)
- 都道府県等講習会を修める(19科目279時間)
社会福祉主事の取得までには1年近くかかることもありますが、社会福祉士のように難易度の高い受験資格や国家試験などもなく資格を取得することができます。
有用な資格であるため、気になる方はぜひ挑戦してみましょう。