「精神保健福祉士を取っても就職できない」なんて話を聞いたことはありませんか?
たしかに社会福祉士や介護福祉士と比べて少し地味な印象のある精神保健福祉士ですが、本当に就職できないほど不便な資格なのでしょうか。
この記事では精神保健福祉士の就職事情について解説していきます。
参考資料:精神保健福祉士の就労調査、精神保健福祉士就職調査結果の実施概要
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精神保健福祉士は就職できないってホント?
まず結論としてお話しますが精神保健福祉士を活かして仕事をしている人は多いです。
厚生労働省の行った、「精神保健福祉士の資格者が精神保健福祉士の資格を活かした就労をしているか」という調査では67%が活かした仕事をしていると回答しています。
もちろんこの67%以外の方の中には精神保健福祉士の資格は取得したけど、精神保健福祉士とは関係のないところで働きたいと考える方なども含まれるため、実際はもっと高いと考えられます
この高い数値の理由には、精神保健福祉士は以前は精神科のある病院やクリニックでの働くのがメインでしたが、
最近では活躍の場も増えてきていて、就職先となる場所も非常に豊富になってきていることも大きいのではないかと思います。
そのため、精神保健福祉士は就職先がないなんて言われることもありますが、精神保健福祉士は就職にも役に立つ資格と言えるでしょう。
しかし、なぜ精神保健福祉士は就職できないなんて噂が出回っているのでしょうか。
考えられる理由を解説していきます。
精神保健福祉士が必須の仕事は少ない
まず、精神保健福祉士は「名称独占資格」です。
名称独占資格とは、資格者以外がその資格者を名乗ることが禁止されている資格です。
たとえば精神保健福祉士の資格を持っていない者が「自分は精神保健福祉士だ」と名乗ることはできません。
名称独占資格と近いものに「業務独占資格」があります。
業務独占資格は、その資格者以外が業務を行うことができない資格を意味します。
弁護士以外が他人を弁護する業務をしてはならないようなものです。
精神保健福祉士は業務独占資格ではないので、精神保健福祉士にしかできない業務というのはありません。
そのため仕事をするうえで、精神保健福祉士が必須となる場面が少ないのです。
そうなると必然的に精神保健福祉士が必要な場面が少なくなり、就職先も少ないと言う結論になるのです。
ただし、施設によっては精神保健福祉士を配置することが法律で定められている場合も多くあります。
このように法律で施設に配置する必要が定められている資格をを必置資格と呼びます。
そのため、業務独占資格ではなくても、精神保健福祉士が求められる場面というのは意外と多いのですが、
このことは現場で働く人達でも知らない知らない人も多く、精神保健福祉士は就職先がないというイメージを強めているのではないかと思います。
資格よりも経験が優先されるケースもある
福祉や介護事業所においては資格よりも経験が優先される場面も多いです。
それはこの業界が知識よりも実務経験が重要視されることが多いことが原因でしょう。
そのため、未経験の精神保健福祉士よりも経験のある無資格者を優先して雇う場合も多くあり、
精神保健福祉士を取っても就職できないなんて言われることに繋がることもあります。
しかし、実は未経験の精神保健福祉士でも、優先して雇われる場合は多くあります。
たとえば、精神保健福祉士を取得する基礎知識があるならばこれから育てていけばいいと考えてくれるところや、
精神保健福祉士を持っていることで、上述した施設の人員配置の要件を満たせる必置資格として求められる場合などがあります。
そのため、決して経験がなければ就職先がないという訳ではありません。
相談員の求人の少なさ
精神保健福祉士の資格を活かした仕事として最も人気の職種と言えば「相談員」ではないかと思います。
ですが、相談員は、人気が高い一方で、現場の支援員と違ってそこまで募集が多い訳ではありません。
そのため支援員は足りてないけれど相談員は足りているという施設も多いようですね。
そのため相談員になることに憧れて精神保健福祉士を取得したのに、なかなか相談員として条件の合う求人が見つからなかったり、就職活動がうまくいかないと悩む人は多いです。
そのため精神保健福祉士は就職できないというイメージが広まってしまいがちなのではないかと思います。
他の資格と比べて地味な印象
精神保健福祉士は「社会福祉士」「介護福祉士」と併せて三大福祉士なんて呼ばれることがあります。
しかし他の二つの資格に比べて、少し地味な印象を持つ人も多いと思います。
そのため、介護業界に強い介護福祉士と、万能性の高い社会福祉士と比較されて語られることも多い精神保健福祉士はどうしてもマイナスな印象で伝わってしまいがちです。
「社会福祉士と比べると精神保健福祉士はそこまで必要ないかな〜」なんて比べられてしまうと、どうしても精神保健福祉士のネガティブな評判が広がってしまうのではないでしょうか。
精神保健福祉士の就職率は高い?低い?
精神保健福祉士の就職率について具体的な数字が公表されている訳ではないため、一概に高い低いと断言することはできません。
私自身が社会福祉協議会に勤めていたこともあり、精神保健福祉士を取得した方のお話を多く聞きますが、
基本的には精神保健福祉士を取って、どうしても就職先が見つからないという人はあまり聞いたことがありません。
もちろん、就職先にこだわりすぎてなかなか就職がうまくいかない人はいます。
そういう人でも最終的にはどこからしらの施設に就職が決まります。
そのため就職率と言う点では精神保健福祉士の有資格者は高いと言えるはずです。
精神保健福祉士の就職先は?
精神保健福祉士の就職先はどのような施設があるのでしょうか。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターが調査した精神保健福祉士の資格者の就職先として多いものは以下の通りです。
- 医療関係(23.3%)
- 障害者福祉(24.4%)
- 高齢者福祉(15.2%)
- 行政関係(10.8%)
- 児童・母子福祉(5.3%)
なかでも精神保健福祉士の就職先としては最も多いのは精神科のある病院やクリニックです。
患者の方の入退院や、退院後にもスムーズな日常生活を送るためのサポートをしたりと、精神障がいを抱えた方の生活のサポートを行います。
以前まではこの医療機関で活躍する精神保健福祉士の方は非常に多かったですが、次第に活躍の場は増えており、障がい者の方の就労の支援をする就労移行支援施設や就労継続支援施設。
高齢者の方のいる介護老人福祉施設や、児童相談所で働くケースも増えてきましたね。